標高は高くなればなるほど空気が薄くなるというのは周知の事実だろう。
だが、標高8000mの世界がどれほど衝撃的な世界なのかは具体的にはあまり知られていない。
実は標高8000m以上の世界は、単に空気が薄いとかそんな生易しい言葉で表現できるレベルではなく、驚愕の世界が繰り広げられていると言っても過言ではない!
その壮絶さゆえ、登山家の間では、「人が生きていけない領域」という意味で「デスゾーン」と呼ばれているくらいだ!
ここでは、地上での常識が全く通用しない、地球上で最も過酷な場所「デスゾーン」での常識についてご紹介しよう。
1「200体以上もの遺体が転がっている、、」
デスゾーンではすでに300人以上が遭難によって亡くなっているといわれているが、標高が高すぎて遺体の回収が困難なため、そのほとんどがそのまま放置された状態になっている、、
その一部を紹介するが、遺体の写真が続くため、心臓の弱い人は注意してほしい!
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それぞれの遺体の解説は別の機会に譲るとして、このように、デスゾーンにはかつてエベレスト登頂に失敗し、遭難死してしまった登山者たちの遺体の多くが今も放置されたまま残っている。
エベレスト登頂を目指す登山者たちは、山頂を目指す過程でこういった遭難者たちの遺体を横目に見ながら道を進めて行く事になる、、
これだけの数の遺体がそこにあるとわかっていながら放置されている場所は地球上ではおそらくデスゾーン以外に存在しない。
しかしいくら標高が高いとは言っても、なぜここまでの数の遺体が今も残っているのだろうか?
それは標高8000mという世界が我々の想像をはるかに超えているからと言ってもいいだろう!
次以降のデスゾーンの常識を読み進めてほしい!
2「動けなくなった人は見捨てる。」
一見すごく残酷に思えるかもしれないが、これがデスゾーンでは通例となっている。
標高8000mでは地上に比べて3分の1程度の酸素しか無いと言われているが、これは酸素を補給するスピードより、消費するスピードの方が速くなることを意味する。
わかりやすく言えば、座った状態で呼吸をしているだけで疲労していくという尋常じゃなく過酷な環境なのだ!
そのため、エベレスト山頂付近では100m進むのに1、2時間かかると言われていて、キャンプの200m手前で遭難するという事も往々にして起こりえる。
そのような環境下で、人を背負って下山するのはまず無理。死にそうになっている人を助けたくても見捨てざるを得ないのが標高8000mの世界だ。
3「標高6000m以上はヘリコプターが飛べない、、」
実は標高6000m以上は気圧が低すぎてヘリコプターが飛べないため、ヘリによる救出や遺体の回収も不可能だ。
上でも触れたとおり、標高8000m以上の領域では地上の3分の1程度しか空気がなく、0.3気圧という低気圧になっている。
そのため、空気を使って揚力を得る仕組みであるヘリコプターは空気が少なすぎて安定して飛ぶ事ができないのだ!
なので、仮に山頂付近で体調が悪くなって動けなくなったとしても、ヘリコプターに救出してもらう事はほぼ不可能。遭難して亡くなった人の遺体を山から下ろすこともできないのだ、、
2015年に公開された映画「エベレスト」では、標高6000m地点までヘリで遭難者を助けに行くシーンがあるが、荷物を下ろして座席をはずし、極限まで軽くしたヘリコプターが、フラフラと安定しない様子で地面スレスレを飛ぶ姿が印象的だった。
実際に下の写真のように、標高5300mにあるベースキャンプ付近には過去に墜落したヘリコプターの残骸が二機、今も残されたままとなっている。
このようにデスゾーンでは、遭難者や遺体を人が背負って降りることも、ヘリで運ぶ事も不可能なのである。
4「1回エベレストに登頂すると、1回ボコボコにKOされたのと同じくらい脳細胞が死ぬ!」
筆者がこの事実を知った時はかなり衝撃的だった。なんでそんなに脳細胞が死ぬのか意味がわからない人もいるかもしれない。
標高8000m以上の領域に長時間いると、極度の酸欠状態が長い間続くため脳に酸素が行き渡らず、脳細胞が死んでしまうのだ!
アルピニスト野口健さんによると、、
8,000メートルに1回行くと、ボクシングでボコボコに殴られてノックダウンされるのと同じレベルで脳細胞が死ぬんですって。
という事らしい(汗)、、さらに、、
登山家でヒマラヤに行ってる人で、ボケる人が多いんですよ、本当に。50代半ばぐらいでエベレストに10回登った、有名なシェルパがいるんですけどね。10回とも無酸素で登ってるんです。彼は50代半ばですけど、もうボケてしまっているんです。
シェルパについては後で説明するが、とにかくエベレストに無酸素登頂をしまくると、50代半ばでもボケてしまうくらい脳へのダメージは大きいらしい、、
他にも、酸欠状態が続くと視覚障害や思考力と判断力の低下など、恐ろしい症状が出始める。
映画「エベレスト」では極寒なのに暑いと言って服を脱ぎだした登山者や、満タンの酸素ボンベを空と誤認してパニックに陥る登山者の様子が描かれていた。
標高8000mは、それくらい人体へのダメージが強烈なようだ。
5「シェルパ族がとにかくすごい!」
こんな超過酷な環境であるデスゾーンだが、こういった環境にめっぽう強い人もいる。
この写真を観てほしい。
なんと、自分の体より大きい荷物を背負い、酸素の薄い高山を行く人たちがいるのだ!
さきほどの野口健さんの言葉の中にも出てきていたが、彼らはシェルパ族と呼ばれる高地に住む少数民族で、もともと高地に順応しているため、エベレストのような高山では驚異的な身体能力を発揮する。
日本ではあまりシェルパ族にフォーカスされる事は無いが、実際のところ著名な登山家よりも生まれたときから高山に順応しているシェルパ族の方が身体能力は高いらしい。
たとえば登山家に密着するテレビのドキュメンタリーなどでも、シェルパ族の姿を映すとインパクトが強すぎて登山家がかすんでしまうため、番組上あまりシェルパ族は映したがらないらしい。
高くない報酬で雇われ、重い荷物を運ぶ重労働を課せられたり時には命の危険にさらされたりと、シェルパ族は完全な裏方になってしまっているが、実は驚異的な民族なのだ!
地球上にあるけど別の惑星のような場所「デスゾーン」
今回はデスゾーンの驚くべき常識を厳選してお届けしてきたが、このように地上では考えられないような過酷な環境が標高8000mにはある。
筆者はデスゾーンと聞くと別の惑星をイメージしてしまう。たとえば火星では生身の人間が生きていけないように、標高8000mでも生身の人間は生きていけない。
そう考えると、今地上で生身の自分が生きていけているのは奇跡なんじゃないか?と思えてくるのだが、皆さんはどうだろうか?
ということで、筆者は引き続きデスゾーンについての情報を収集して行こうと思う。もし他にもデスゾーンに関する驚くべき事実を知っているという人は、コメント欄から是非教えてもらえるとうれしい。
参照元:ウィンウィン対談 野口 健さん、Pinterest[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]、[8]、[9]、[10]、[11]
写真提供:節約旅行.info、山爺の冒険