動物が好きな人なら、道端ですれ違うワンコたちをついつい撫でてしまうこともよくあるはず。
しかし、時折それは命を落としかねない大変危険な行為にもなってしまうのだ。
ノルウェー人女性が狂犬病で命を落とす
5月6日、ノルウェー在住のビルギッタ・カレスタッドさん(24)が入院先の病院で亡くなった。死因は狂犬病を発症したことによるものだった。
しかし、ノルウェーは日本同様、厚生労働大臣より狂犬病清浄地域として指定されており、ノルウェーで人間が最後に狂犬病に感染したのは200年以上前の1815年のことだという。
では、なぜビルギッタさんは狂犬病に感染したのか。その原因は彼女が訪れた旅先にあった。
フィリピンで子犬に噛まれたことが原因
今年2月、ビルギッタさんは友人たちとフィリピンと訪れていた。
電動自転車に乗って観光をしていた彼女は、道端で1匹の子犬に遭遇したという。身寄りのない痩せ細った子犬を可哀想に思ったビルギッタさんは、子犬を連れて滞在先のホテルに戻り、体を洗って綺麗にしてあげると、ホテルで飼われていた他の犬たちと元気よく駆け回って遊ぶようになったようだ。
しかし、子犬は甘噛みやじゃれ噛みをするもの。その子犬もビルギッタさんの指を噛んだというが、当時は気にも留めなかったという。
帰国後、体調を崩したビルギッタさんには頭痛や発熱などの症状が見られた。次第にその症状は悪化し、自身が務める病院に入院して治療を受けていたというが、狂犬病に感染していると診断されたのは5月4日のことだったという。そして、そのわずか2日後、ビルギッタさんは息を引き取ったのである。
渡航前に狂犬病予防ワクチンを!
中国やフィリピン、インドネシアやインドなどは狂犬病発生地域として知られており、日本でも渡航前には狂犬病の予防ワクチンを接種するよう呼びかけられている。
しかし、ビルギッタさんは狂犬病の予防ワクチンは接種しておらず、今回感染してしまったようだ。
狂犬病は感染してしまうと致死率は100%だと言われており、現在のところ発症後の有効な治療方法はないと厚生労働省のウェブサイトにも記載されている。
旅先でむやみやたらに動物と触れ合うのは控えるのはもちろんだが、万が一、彼女のように犬に噛まれてしまったらどうすれば良いのか。
狂犬病ウイルスが人間の体内に潜伏する期間は約1ヶ月から3ヶ月程度だが、中には発症までに1年かかる人もいるという。事前に予防ワクチンを接種するのが一番だが、感染したかもしれないという可能性があるならば、直ちに狂犬病予防ワクチンを接種することが望ましい。狂犬病は一度発症してしまうと、100%命を落としてしまう恐ろしい感染症なのだ。
フィリピンやタイなどへ渡航したことがある方ならお分かりかと思うが、多くの野良犬が路上に群がっている。狂犬病発生地域に指定されている国へ旅行する前には、必ず狂犬病予防ワクチンを接種してから渡航し、動物には近づかないように注意するよう心がける必要があるだろう。