パラオの絶景スポットにいったい何が!?
みなさんは、パラオの世界遺産、ロックアイランドにあるジェリーフィッシュレイクをご存じだろうか?
全長460m、最大幅160mの、この塩湖では、きわめて珍しく美しい光景が広がっているのだ。
なんと美しい光景なのだ。
これはゴールデンジェリーフィッシュというクラゲだ。
このクラゲは、海にいるものと違い、人を刺すことはない。それは、ジェリーフィッシュレイクが海から隔絶された1万2000年前に、湖に取り残され独自の進化を遂げたからだ。
ほとんど天敵もいない事から、湖はゴールデンジェリーフィッシュの楽園と化していた。
この美しい光景を一目見ようと、数多くの観光客が足を運ぶ、世界有数の絶景スポットであった。
しかし今、ジェリーフィッシュレイクに異変が起きているというのである。
そう、クラゲたちが姿を消したのだ。
突然の激減
2016年5月、800万匹いたクラゲたちが、突如60万匹程度にまで激減したのだ。現地では30万匹程度しかいないのではと話す人も多い。
では、なぜ一体クラゲたちは激減してしまったのだろうか。
実は、気候変動が大きな要因になっているのだという。
エルニーニョ現象という言葉を、お聞きになったことはあるだろうか。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
このエルニーニョ現象の影響を受けたパラオでは、干ばつが続き河川やダムなどの水が干上がってしまうほどだったという。
もちろんジェリーフィッシュレイクも同じく影響を受けた。海水温の上昇から塩分濃度が上がってしまい、ゴールデンジェリーフィッシュのエサとなるプランクトンが死滅してしまったのだ。
そしてエサの無くなったゴールデンジェーリーフィッシュも生存していくことが厳しくなったのである。
実は以前にも絶滅の危機があった
実は、1998年にも同じようにゴールデンジェリーフィッシュが激減したことがあった。
理由も全く同じで、エルニーニョ現象によるものだった。この時のエルニーニョは20世紀最強と言われるほど、世界各地に甚大な被害をもたらした。
その時は今回よりも悲惨で、成体(おとな)のジェーリーフィッシュ全てが死んでしまったのである。なんてこったい。
しかし幼体(あかちゃん)のジェーリーフィッシュは何とか難をのがれ、2年後には成体が姿を現したのだとか。九死に一生である。
クラゲはどうなってしまうのか
2016年5月から減り続けているクラゲたち、今後どうなってしまうのか。1998年の二の舞になってしまうのか。
また、湖を覆い尽くさんばかりのクラゲたちを見ることはできるのか。
1998年のことを考えれば、希望は持てる。だが、以前のような美しい光景を目にするためには、長い時間を必要とするだろう。
ジェリーフィッシュレイク以外にも、世界には自然が作り出した絶景ポイントが存在する。
その光景は、我々に様々な感情をもたらし、素晴らしい体験を与えてくれる。
しかし忘れてはいけない。
それは、いつか失われてしまうかもしれないことを。