教官が失神し絶体絶命の新人パイロットだったが・・・
飛行機は高い安全性を誇るが、事故が起きた時の致死率の高さは群を抜いている。そのためパイロットは責任重大であり、いかなる時でも冷静な対処が求められる。
今回取り上げるオーストラリアの航空学生、マックス・シルベスターさん(29)は、先日セスナ機を使った初めての飛行訓練を行なったという。
しかしその途中、指示するはずの教官が意識を失ってしまったのである。
8月31日の午後、シルベスターさんは、西オーストラリア州にあるパース空港で飛行試験を行っていた。その様子を、彼の妻と三人の子供たちは固唾を飲んで見守っていたという。
そんな中、離陸して1時間経った時・・・教官のロバート・モラードさんが意識を失っていることに気がついた。モラードさんの体は倒れてきて体勢が安定せず、意思疎通ができない状態だった。
状況が分かったシルベスターさんは、すぐさま管制官に緊急事態を示す通信を飛ばす。録音には、状況を知った管制官が「操縦はわかりますか」と聞くと、「いいえ、これは最初の訓練で・・・・」というシルベスターさんが返答するやりとりが残っていた。
だが、管制官はシルベスターさんを落ち着かせるため1時間以上の通信を続けた。そして、「とてもうまく操縦できています」と励まし、「これからあなたは素晴らしいフライトをします。不安でしょうが、着陸まで頑張りましょう」と指示をした。
シルベスターさんは緊急着陸すらもしたことがなかったというが、管制官は事細かな指示を続け、数回の旋回をした後に見事着陸。ジャンダコット空港に無事降り立ったのである。
その後、教官のモラードさんは緊急搬送され、重体だったというが容体は安定しているという。
ABCニュースの報道でシルベスターさんは「この行動ができたのは、ただ課せられた宿題をきちんとこなしたから。航空学生として訓練をしっかりやったからです。」と明かしていた。
まるで映画のような体験をしたシルベスターさん。この状況から生還できたのは、危機的状況でも冷静でいられた彼自身の才能はもちろん、管制官の協力あってこそと言っていいだろう。
参照元:ABC.net.au、Youtube