100年以上解明されていない謎の書物!
解き明かされていない謎に包まれている事柄は、世界中にたくさんある。これらに魅力やロマンを感じるのは、人間の本質だろう。
そんな謎多き文書の中で、「ヴォイニッチ手稿」は世界一の奇書と呼ばれる。この文書に隠されている謎を、少しお見せしよう…
ヴォイニッチ手稿とは…?
まずはじめにヴォイニッチ手稿とは何か、この文書はどのような歴史をたどってきたか、簡単にまとめてみたので確認しておこう。
①ヴォイニッチ手稿は、約240ページからなる未解読の古文書。
②ポーランド系アメリカ人のウィルフリッド・ヴォイニッチが、1912年に発見。そこから「ヴォイニッチ手稿」と呼ばれる。
③1400年-1600年の間に、動物の皮から作られる羊皮紙を使用して書かれている。
④1582年、現在のチェコ、ボヘミア国王ルドルフ2世が所持していた記録がある。
⑤この文書には文字、植物、天体図、入浴中の裸の女性などが描かれているが、一切未解読。
⑥1945年、アメリカ史上最高の暗号家が解読に挑戦するも、成功ならず。いまだに多くの人が挑戦しているが、手がかりはまったくない。
500年以上前の謎に包まれた文書…なんて魅力的なんだ!!!ロマンを追い求める人の心は、すさまじいほどにゆさぶられていることだろう。
だが数多くの未解読文書があるなかで、なぜヴォイニッチ手稿が「世界一の奇書」と形容されるのだろうか。より詳しくヴォイニッチ手稿の謎の核心に触れるため、実際に考えられている3つの説をなぞってみることで、世界一の奇書を体感してみよう。
①暗号説:著者は薬草学者?錬金術師?
取り上げる3つの説のうちこの説は、最も現実味のある説とされている。ヴォイニッチ手稿は暗号だと想定し、ヴォイニッチ手稿の著者について迫るものだ。このアプローチでは、堅実にヴォイニッチ手稿を解き明かそうとしており、2つの可能性が考慮されている。
1つ目の可能性は、この手稿は薬草学の文書ではないかというものだ。この考えでは、世界史でも著名なロジャー・ベーコンが著者だと考えられている。
中世ヨーロッパの社会では、信仰や概念に重きを置く宗教的観念が重要視されていた。そのためこの時代、経験や観察を主とする科学的思考は、宗教的観点から迫害されていた。
そんな時代に、ベーコンは経験や観察の科学的思考を重要視したため、近代科学の先駆者と称されている。彼は、宗教的迫害から薬草学の知識を守るために、独自の暗号を用いてヴォイニッチ手稿を書いたのではないかといわれている。
宗教から科学を守るなんて、ベーコンはなかなかすごいことをやっている。だが、迫害から守ることに成功しても、暗号を誰も解読できなかったら意味がない気がするのだが…
著者に関する2つ目の可能性は、錬金術師エドワード・ケリーという人物が書いたのではないかというものだ。ヴォイニッチ手稿には、錬金術っぽいシーンがみられなくもない。
ヴォイニッチ手稿の最初の所持者、ボヘミア国王ルドルフ2世は錬金術に没頭しており、錬金術に関する書物を片っ端から集めていた。そこでケリーはそれを利用し、金稼ぎをしようと考えた。錬金術の書籍のようではあるが、まったくでたらめの、完全にでっち上げの書物を作り、ルドルフ2世に売りつけたとされている。その書籍こそ、ヴォイニッチ手稿ではないかとこの説では考えられている。
この説が正しければ、そんなでっち上げの書物が後世、「世界一の奇書」と称されるんだから、ケリーはなんとややこしいことをしたものだろう。そもそも、現代からすれば何もないとこから金をうみだそうとする、錬金術自体がありえないのだが…
暗号ではないかと考え著者を追っているこの説、結構論理的に思えるが、いまだに解読はされていないため、よくわからない。わからないからこそ、魅力があるんだろう。
②アウトサイダーアート説:まったく意味のないでたらめ?
2つ目のヴォイニッチ手稿の内容は何かという説は…できれば考えたくもない。その説とは、ヴォイニッチ手稿はまったく意味のないでたらめ、アウトサイダーアートだというものだ。心から、この説は誤りであってほしいと願う。
本来の芸術が意味や表現したいものを持っているのに対し、アウトサイダーアートは何の意味もなく、作者がただ書きたいように書いただけの芸術だ。これが正しければ、ヴォイニッチ手稿はまったく意味のないもので、翻訳しようとする挑戦自体が意味のない、バカ丸出しの取り組みになってしまう。
もしも、このまったくでたらめ説が正しければ、筆者をはじめ多くの人々は泣いて悲しむだろう。われわれがヴォイニッチ手稿の謎に触れて、ロマンを感じわくわくした時間を返してほしい。
ただ、ヴォイニッチ手稿の紙である羊皮紙は、作成された当時高級品であった。10年働いても240ページ分もの羊皮紙は購入できない、と述べている人もいる。まったく意味のないでたらめの作品を作るためだけに、そんな高級品の羊皮紙を用意するかが怪しい。ということで、この説もまだ謎が多い。このまま誤りであることを祈ろう。
③パラレルワールド説:異世界からのメッセージ?
お待たせいたしました。3つ目は最もオカルト好きの心をくすぐる、パラレルワールド説だ。
これが考えられている理由の一つは、言語がまったく、本当に一文字も解読されていないことだ。ヴォイニッチ手稿の言語は、統計学的にでたらめな文字列ではなく、なんらかの規則性を持つ文章であることは認められている。だが、いつの、どこの言語かが一切判明されていない。われわれの世界では知られていない、他の惑星かパラレルワールドの言葉かも、と考えるのも頷ける。
それともうひとつ、より重要なことがある。ヴォイニッチ手稿には、多くの植物が挿絵として非常に緻密に描かれているのだが、その多くが地球上では発見されていないのだ。なんと9割以上が不明の植物である。そこで、この植物は架空のものか異世界のものではないかと考えられている。
さらには、天文図が書かれているページもあるが、太陽系かは不明。また、人も描かれているが、全裸だから文化も把握できない。わかることは、本当に何一つない。
これらの理由から、パラレルワールドの説は捨てられず人々の心をわくわくさせている。夢が広がるぜ!
解読してやったという人が数名現れる!
そしてこのパラレルワールド説の支持者の中で、実際にヴォイニッチ手稿を解読した!という者が大手掲示板2ちゃんねるに数名現れた。
彼らはみんながみんな、ひょんなことからパラレルワールドに入ってしまい、ヴォイニッチ手稿を読めるようになったということだ。
ある一人がヴォイニッチ手稿を翻訳してくれているので、一部を見てみよう。
これらの草達には根っこの数に比例した立体型の線維組織が存在し、根っこが多いほど強いというわけではなく、繊維を構成する物によって変わるようだ。これらを知ることによって我らの国に多大な利益をもたらすかもしれない。
ほんまかい…若干、というか相当信じがたい内容ではあるが、真相は一切わからない。パラレルワールドに入るという前提から、うさんくさい感じはするけど…
ちなみに、彼らは全員最後には、口をそろえてあることを言う。
話聞かせて欲しいという人にはすまない。 知らない方がいい話もあるってことを覚えておいて欲しい。
…怖いわ!!!
地球の滅亡にかかわるみたいな終末論ねぇ。どうもうさんくさいなぁ。
だがこれが嘘だという証拠もないので、パラレルワールド説を信じるか信じないかは、あなた次第である。
自信のある人は是非解読にチャレンジを!
このようにヴォイニッチ手稿は一切何もわかっていない、謎の書物であった。確かに世界一の奇書と呼ばれるのも理解できる。ロマンの塊じゃないか…解読への有力説をたどることでわくわくしてくれていたら幸いである。
ちなみに、ヴォイニッチ手稿は、現在所有しているイェール大学図書館がネット上にアップしている。ダウンロードすることで、ヴォイニッチ手稿の全文を読むことができるので、みなさんも解読に是非チャレンジしていただきたい。解読してやったぜ!という方がいれば、是非ご一報を!!!
参照元:ヴォイニッチ手稿(全文)、Wikipedia[1][2]