大統領の意向とは真逆の対応を取ったのはギャング?
世界中に広がる新型肺炎を受け、各国政府はロックダウンといった大胆な対応を取っている。
しかしそんな中で、ブラジルのボルソナロ大統領は一貫して外出制限や都市の封鎖に反対している。
むしろ、3月29日のAP通信の報道においても、他国の封鎖措置を批判した上で「私たちはどうせ死ぬ」「男らしく立ち向かおう。子供のように振る舞うのはやめよう。」と断言。いつもどおりに働いて、国民に経済活動を促すよう求めていたという。
Spreading coronavirus in Brazil — Far-right populist president Bolsonaro says that “Brazilians aren’t infected by anything, even when they fall into a sewer”
Elect a clown, expect a circus. A deadly circus.pic.twitter.com/37fdHedUBj— Alfons López Tena (@alfonslopeztena) 2020年3月30日
しかしながら、4月4日時点でブラジル国内の感染者数は9000人を超え、死者は359人に達している。
感染は医療体制が整っていない貧困層にも広がっているとし、ブラジルの保健大臣は「貧困層が食料不足に陥り、4月末までに医療体制が崩壊する。」と警告している。
このように、各州知事もなすすべがない中、ある組織が貧困街の封鎖に踏み切った。なんと、地域に根ざしたギャングである。
対象となったのは、リオデジャネイロ郊外にあるファヴェーラと呼ばれる街。
通称「シティ・オブ・ゴッド」と呼ばれ、麻薬犯罪やギャング同士の抗争が絶えない非常に貧しい地域である。
ギャングが封鎖を呼びかけたのは、3月下旬のこと。上のニュース映像に映る、紫の画像が拡散されたのが始まりだ。内容は以下の通りである。
「リオ・ダス・ペドラス、ムゼマ、ティジュキナのすべての居住者は注意してください!
今日の夜8時から外出禁止令を出します。この時間以降に路上にいる人は、隣人を尊重することを覚えましょう。」
別のメッセージには、こうした外出制限を課す言葉に加え、「人々は最善の対策を求めています。政府に解決能力がないのであれば、ギャングが解決する。」と宣言していた。
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まるで自警団のようだが、封鎖期間中の内情はネット上に上がっていないため、恐ろしい暴力が横行している可能性もある。
裏を返してみれば、封鎖をすれば警察も介入できなくなるため、ギャングたちはやりたい放題できてしまうわけだ。
この封鎖が功を奏し、貧困層の人々に何事もないことを祈るばかりである。