中国語の単語が差別用語に?
コロナウイルスによる大学の閉鎖がまだまだ続いており、オンラインでの授業が続いているアメリカ・カリフォルニア州。
そこにある南カリフォルニア大学もその一つだが、ここで教鞭を執る中国語教授が、理不尽な理由から停職処分となっているという。
問題に直面しているのは、南カリフォルニア大学マーシャル経営大学院で中国語の教授を務める、グレッグ・パットン氏。8月20日に行ったオンライン授業にて、問題のある発言があったとして苦情を受けた。
それは、中国語で「あれ」「それ」を示す「那个(néige)」という言葉が、人種差別用語である「niggar」に聞こえたというものである。
上の動画はその授業の様子だが、言葉を紹介した後「国によっては異なった意味の言葉に聞こえるかもしれませんが・・・」とフォローを入れている。しかし、授業に参加していた黒人学生から、「精神的に害され、研究に集中することができなくなっている」として不満が噴出した。
その翌日、クラスにいた黒人学生グループが、学部長のジェフリー・ギャレット氏に陳情を提出した。
「中国語は1万文字以上ありますが、このフレーズを使うことは有害であり、南カリフォルニア州マーシャル経営大学院のコミュニティにおいて受け入れがたいことです。
私たちの教授の犯した過失と蔑視は明白なものです。
『教授は人種意識や共感力にかけており、私たちと同様に多様な学生を指導し教えることができない』と知りながら、残りの2週間の授業を受講するのことは、受け入れられるものではない。」
この授業は3週間の集中講義となっており、経営学の初年度の学生は必修となっている。これを受け、学部長は8月24日に「教授が英語における下品な人種差別用語を使ったことを謝罪します」というメールを全学生に送付した。
その上で、副学部長や他の教授と協力し、人種差別的バイアスやマイクロアグレッション、不平等の問題に対処すると述べた。またメールでは、パットン氏は少しの間中国語の授業から離れることに同意したと綴られていた。
現在、講義は別の教授が引き継いでおり、パットン氏は別の授業を請け負っているという。
日々強い差別を受けている黒人学生にとって、問題の発言は耳にもしたくなかった言葉だろう。だが、教授側にも悪意はなかったのもまた事実。悪いのは、アメリカに強く根付いている人種差別に他ならないのだ。