決死の配信が運営によってブロックの可能性
安楽死が合法であるスイスにおいて、希望者の多くは難病を患った人がほとんどだとという。日本でも、今年7月に京都府の女性が医師によって尊厳死させられる事件が起こったのは記憶に新しい。
今回取り上げるフランスも、日本と同様安楽死は違法とされている。
これを受け、フランス北東部ディジョンで療養をしているとある男性が、驚きの方法で異を唱えている。
その試みを行うのは、アラン・コックさん(57)。彼は34年間にわたり、動脈の壁と壁がくっつく非常に珍しい病気を患っており、自宅のアパートで終末期医療を受けている。
この度、9月4日午後11時からすべての薬の服用と飲食をやめ、9月5日から、自分が亡くなる様子をフェイスブックで生配信する予定だと投稿した。
これは、仏マクロン大統領の政治方針に一石を投じるためだと主張しており、その理由について「国の積極的な医療援助により、死ぬことを許してもらえなかった」ためだと明かしている。
上記の通り、フランスの法律では安楽死は違法であり、人の死を早め、死ぬまで意識を失わせる可能性のある鎮静剤の投与なども、特定の状況を除いて合法ではないと定められている。一方で、フランス国民は治療を停止する権利を有しており、法律では自殺における訴追はないとしている。
コックさんは過去に、障害者の生活を改善するための組織を設立しており、今年7月20日にも、大統領あてに尊厳死の承認を求める文書を送っている。その中には、日々の生活の激しい苦しみが記されていた。
「本日、機能不全の体に閉じ込められ、気分も悪く苦しんでいるこの状況をあなたにお伝えしようと思います。
大統領、あなたは腸や膀胱に管を刺され、栄養補給をされ、第三者に風呂をいれてもらうことや、耐え難い痛みによって不自由であることの苦しみがわかりますか?
家族や友人が死なせまいとしているので、私は尊厳を持って、積極的な医療支援を手放そうと頼んでいます。
一部の人は「能動的安楽死」のことを「自殺支援」という用語を使いますが、私が考える最も適切な用語は、「積極的な医療支援による尊厳ある人生の終わり」だと考えています。」
これに対し、マクロン大統領は公式声明で「感動した」と明かしていたが、法律の範囲を超えることを許可する発言はなかったという。また、尊厳死の合法化を求める人々の多くが、コックさんの考えに賛意を示している。
フェイスブックが動画の配信をブロック
そんな中迎えた9月5日、フェイスブック側は、「自傷行為の助長を妨げるライブストリームは禁止されている」と、ポリシー違反であることを伝え、動画の配信をブロック。また、コックさんは自身のページにて「8日までブロックされてしまった」と綴っていた。
この二日後の7日月曜日、コックさんの体調は急激に悪化し、大学病院に移送された。それまで治療を拒んできたというが、重い脱水症状や激痛に苦しんでおり、最終的に緩和ケアを受け入れたという。