入居者わずか10世帯のみ
緑あふれる生活は、それだけでも人の癒しとなる。発展が続く中国でも、忙しい生活に疲れた人々は自然を求めはじめているようだ。
そんな住民をターゲットに、四川省成都にて「垂直の森」と称するマンションが2018年に完成した。生き生きと木が生い茂る計6棟のタワーマンションがそびえ立ち、2020年4月までに約826室すべてが完売したという。
ところが今年9月、実際に住んでいるのは、たったの10世帯であったことが報じられた。その原因は、夏に沸く大量の蚊であった。
大きくせり出たバルコニーに、ぎっしりと茂っている植物。完全に放置されており、今ではジャングルのようになってしまっているという。
こちらのマンションは、成都・岐邑フォレストガーデンレジデンシャル。「都会に緑を」をコンセプトに設計されていたが、なんと蚊の大発生により、新築にも関わらずほぼ無人になってしまっているのだそう。
9月にはこの廃墟化したビルをドローンで飛ぶ映像が公開されていたが、中には、何部屋かだけきっちりと剪定されている家も。蚊におそわれつつも、懸命に草木を手入れして暮らしている人もいるようだ。
また、イタリアにも同様のコンセプトの緑あふれるマンションが存在しており、そちらは虫の発生などを最小限に抑え、とくに問題は起きていない模様。SNS上では、「蚊は水たまりができると発生する。設備に問題があったのでは」といった声があがっていた。
素敵なコンセプトであることは間違いないが、高温多湿の東アジアの気候にはあまり適さなかったのかもしれない。