植物から取れた甘味料だからって…
低カロリーなのにしっかりとした甘味を持つ”リコリス“は、ヨーロッパで古くから愛されている天然甘味料。
中でも、北欧で生まれた黒いグミ「サルミアッキ」は、リコリスが含まれる代表的なお菓子である。日本人の口には合わないことが多いが、世界中でファンが多い。
ところがこの度、アメリカにお住いの男性が、このリコリス菓子を食べ過ぎたせいで亡くなってしまったという。
亡くなったと報じられているのは、アメリカ・マサチューセッツ州在住の54歳の建設作業員の男性。ファーストフード店で昼食をとっている最中、突然倒れこみ、心停止してしまったという。
救急隊員が心肺蘇生を行い、一時的に息を吹き返したが、翌日に病院で死亡。検査の結果、重い低カリウム血症に陥っていたという。
この症例は、医療ジャーナルサイト「New england jurnal of medicine」に投稿されており、記事によると、リコリス菓子に含まれているグリチルリチン酸が原因であるとしている。これは甘味をもつ成分ではあるが、過剰摂取すると高血圧や、低カリウム血症などの症状が出るという。
この成分は欧米では飲料水や食品の添加物としても広く使用されている。
マサチューセッツ総合病院の循環器科医、ニール・ブタラ氏は、英メディア「Sky news」において、「少量のリコリスを摂取するだけでも、血圧が少し上昇する可能性がある」と述べている。
また男性は、それまで赤いフルーツ味のグミを食べていたというが、死亡する数週間前に、黒いリコリスキャンディに切り替えていたという。それ以来、男性は1日1パック半を毎日食べ続けていた。
米食品医薬品局のガイドラインでは、1日56グラム(2オンス)以上のリコリスキャンディを食べると、40代以上は不整脈を引き起こすと呼びかけられているが、男性は大幅に超えた量を摂取していた。
リコリスのキャンディを販売するアメリカの「Twizzlers」社は今回の事件を受け、「当社の製品は安全に食べられるよう、アメリカ医薬品局の規制に完全に準拠して配合しております。菓子を含む全ての食品は、適度に楽しむべきです。」とコメントを述べている。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。どんなものでも節度を持って食べていただきたい。