60年ぶりに国境が侵され大問題に?!
ヨーロッパ諸国において、領土問題は非常にセンシティブな話題だ。今でこそ平和であるものの、これまでに数多くの戦争が起こってきた。
ところが、2021年の今になって大問題が起こってしまった。しかもそれは、80年以上ほぼ活動を休止していた国境委員会を再動員する事態にまで至っているという。
問題が起こったのは、フランスとの国境に位置するベルギー・ハイナウト州エルクリンヌ村。そこにある国境付近の森を歩いていた地元の歴史マニアの男性が、両国の境界線を示す石が、2.29mほどずれていたのを発見した。
これにより一時的に、フランスの領土がちょっとだけ小さくなり、ベルギーの領土が大きくなっていた。
知らせを受けたエクリンヌ村の村長は、すぐさま調査を開始。なんと、地元の農家の男性が、トラクターで道を通る時に石を邪魔に思い、動かしてしまったことが明らかになった。
村長はフランスのメディア「Channel TF1」に対し、「彼はベルギーを大きくし、フランスを小さくした。いい考えではないですよ。」「民間の土地所有者の間で頭痛の種を引き起こしました。いうまでもなく近隣の州にも。」と呆れながらに語ったという。
フランスとベルギーの国境は、1815年にナポレオンがワーテルローの戦いで敗北したあと、その5年後に”コルトレイク条約”のもとで正式に設立された。動画の石に「1819」と記されている通り、1819年以来ずっと同じ場所に設置されていた。
村長は、農家の男性に連絡して、石を元の場所に戻すよう依頼する予定だという。これに従わなければ男性が刑事責任を問われる可能性があるだけではなく、ベルギー外務省にまで問題は波及する可能性があるという。
そうなると、1930年以来休止していた、フランス-ベルギー国境委員会を召喚しなければならない可能性があるとのこと。
とはいえ、村長は事態を楽観視しているようで、「農家の男性が善意を示していただければ、大した問題にはならないでしょう。私たちはこの問題を友好的に解決します。」と、ベルギーのニュースメディア「Sudinfo」に語っていた。