人種差別的な同化政策の名残か
人権に関して先進的なイメージがあるカナダだが、それは、過去に行った先住民への支配や差別の反省があるためとされている。
だが5月末、この暗い歴史が掘り返されるような出来事が大きく報じられた。
動画:子ども215人分の遺骨発見、カナダの先住民寄宿学校の跡地から 3歳ほどの幼児も pic.twitter.com/Y66MRfdvJE
— ロイター (@ReutersJapan) May 30, 2021
5月31日に発表された先住民支援団体「Tk’emlups te Secwepemc First Nation」の報道によると、5月中旬、先住民の同化政策が行われた寄宿学校の跡地にて、215人の子供の遺骨が発見されたという。
見つかったのは地中レーダーを使用した調査の最中で、中には、3歳の児童の遺体もあった。
調査されたのは、ブリティッシュコロンビア州にあったカムループス・インディアン寄宿学校。
この学校は1950年のピーク時には500名以上の児童が管理されていた。1969年まではキリスト教会に管理を委託しており、それ以降は政府が管理していたものの、1978年に閉校。1996年まで学生寮として使われていた。
インディアン寄宿学校とは?
「インディアン寄宿学校」とは、19世紀に始まった同化政策の一つとして行われていたもの。先住民の子どもたちが親から強制的に引き離され、土着の宗教や言語を禁止し、キリスト教や欧米文化教育を行なっていた。その数はカナダ国内だけでも、1863年から1998年までで15万人に上るとという。
その過程において、子供達は親から名付けられた名前を白人風の名前に変えさせられたほか、性的虐待や精神的虐待が日常的に行われていたことがわかっている。
今回問題となったカムループス・インディアン寄宿学校においても虐待が発生しており、感染症によって多数の児童が亡くなったという記録も残っていた。だが、その記録の多くが闇に葬られている。
支援団体は更なる調査を続ける姿勢をとっており、カナダ政府にむけても、調査を全国に広げるよう求めたという。
これを受け、カナダ首相、ジャスティン・トルドー氏が火曜日にTwitterにてコメントを投稿。「旧カムループスの寄宿学校で遺体が見つかったと言う報道に胸を痛めております。」「わが国の歴史の恥ずべき歴史の一つであり、痛ましい過去です」と述べていた。
トルドー氏は具体的なアクションを起こすことを約束したが、現状はその内容については明かされていない。
この同化政策の影響は強く、現在も先住民コミュニティにおいて、アルコール依存症やメンタルヘルス、高い失業率や貧困など、その爪痕は深く残っている。