組織的犯罪組織 チーズ窃盗団?
今月初旬、オランダで約1.5トンを超える高級チーズの盗難事件が発生し当局は同国の酪農家に警戒を呼びかけている。
事件が起きたのはオランダ南部のノールドブラバント州にある酪農場。
”非常によく組織された”チーズ泥棒のグループが酪農場に侵入し、高級チーズを満載したトラックを奪った。
被害総額は推定300万円弱だそうだ。
宝石や貴金属と比べると、”チーズ”というのは組織犯罪のターゲットとしては不思議に感じるかもしれない。
しかし稀なケースとはいえ、チーズ強盗のリスクはそれなりに高いようで、オランダの酪農家は盗難を非常に警戒しているらしい。
オランダの農場酪農家協会会長のテオ・デッカー氏は、
犯罪組織は暴力的手段でチーズ農場に入り込むことをためらわない。あっという間にバスを満杯にして去っていきます。
と語る。
デッカー氏によれば、チーズはその価値の高さから犯罪組織にとって魅力的な商品であり、他国特に東欧やロシアに運ばれ、切り売りされる傾向があるという。
デッカー氏は、
これからはチーズの安全性を高める必要があるだろう。これは単なる盗難ではなく、組織犯罪だ
とも語った。
今回の盗難の背景には世界情勢が
現在でも、同国のチーズは盗難された場合、国内で販売することを事実上不可能にする特別なコードでマークされている。
デッカー氏によれば、以前盗難したチーズを売りさばこうとしたアマチュア泥棒がいたが、このコードのおかげですぐに逮捕されたそうだ。
ただ、チーズの一部分を切り取ると、そのチーズがどこから来たのかは判別するのは困難だ。
デッカー氏は、
経済制裁のために他国の乳製品を購入できないロシアに、ブラックマーケットを経由してチーズが行き着くという報告があった
とも語っているそうだ。
今回の強盗事件を受けてデッカー氏は他の酪農家に、同様の犯罪に対して警戒を怠らないよう警告し、監視カメラを設置することや、損失に備えてチーズに保険をかけること等を促しているそうだ。
一見、牧歌的な響きにも感じる”チーズ盗難事件”であるが、背景には昨今の世界情勢が深く関わっているようだ。