バレンタインデーはやめにして「牛を抱きしめる日」に!という試みがインドで頓挫

カルチャー

バレンタインデーにNO!今日は『牛を抱きしめる日』

本日、2月14日バレンタインデーは世界中の人にとって特別な一日であるようだ。日本ではチョコレートがクローズアップされがちだが、20世紀以降に西洋文の影響を受けた国々ではカップルが色々な物を送り合う日として定着している所が多い。

ここインドでも事情は同じく、1990 年代初頭の経済自由化政策によりバレンタインデーが普及した。近年のインドの若いカップルたちの間では、風船やチョコレートをプレゼントしたり、公園や映画館、レストランなどで一緒に時間を過ごしたり、バレンタインデーをテーマにしたパーティーに行ったりして、バレンタインデーを祝うのが一般的だ。日本同様、この日の消費動向はそれなりの経済規模となっているという。

しかし今年、バレンタインデーはやめにして本日を「牛を抱きしめる日」(Cow Hug Day)としては如何か?という提案がインド国内で浮上し議論を呼んだ。(以下は「牛を抱きしめる日」の実現イメージ)

この提案を行ったのは、インド・国営動物福祉委員会。今月10日にバレンタインデーの代わりに2月14日は「牛を抱きしめる日」(Cow Hug Day)と制定し祝うよう国民に促したらどうか、という旨を上訴したという。その上訴文の要旨はこうだ。

インドの思想や伝統は「西洋文化の進歩」により絶滅の危機に瀕しており、西洋文明のまばゆさによって、我が国の文化と遺産はほとんど忘れられている。牛を抱きしめることで、感情的な豊かさをもたらし個人と集団の幸福を高めるべきだ!

国民の反応は“冗談じゃない!”。上訴は取り下げ

しかしながら、この熱い志をもつ提案は14日を前にあえなく取り下げされた。国内外の一般大衆からの批判、そして多くの嘲笑を引き起こしたことがその原因だそうだ。

この上訴を受けて、インドのSNSには「牛を抱きしめる日」(Cow Hug Day)についての多くの投稿がなされた。例えば、Twitterで #cowhug と検索すると、牛を抱きしめようとして失敗する動画や風刺画が沢山投稿されていることが確認できる。

勿論、こういった反応とは別に牛や伝統は敬うべきとする穏当な意見も散見される。

いずれにせよ、バレンタインデーをどう捉えるかは別として、インドの多くの人々は今回の国営動物福祉委員会の訴えは“行き過ぎ”だったと感じていることは確かなようだ。

インドでは、牛は“神聖な動物”とみなされ大切に扱われるというイメージがあるが、今回の件で国民が牛に抱く微妙な感情も垣間見れて興味深かった。ともあれ、牛を抱きしめるよりは恋人を抱きしめるほうが幸せ、というのはどんな文化でも変わらないようですね。

参照元:time.comYoutubetwitter(1)twitter(2)twitter(3)

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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