逮捕を免れようと14年間隠れていた男
このほど、中国の人里離れた山にある洞窟の中に、14年間も身を潜めていたという男が逮捕され話題をよんでいる。
実はこの男、2009年にガソリンスタンドから現金約3000円を盗み、警察から逃れるために洞窟に隠れていたというのだ。
中国湖北省恩施市の村に住んでいた当時30代半ばだった劉莫福は、義弟ともう1人の共犯者とともにガソリンスタンド強盗に加わった。3人は156元(約3,000円)を手に入れたが、そのうち60元はすぐに食べ物や花火に使ってしまい、手元に残ったのは1人あたりわずか32元(約620円)だったという。
その後、警察が義弟と共犯者を逮捕するのにそう時間はかからなかった。このままでは自分も逮捕されてしまう…、そう思った劉は刑務所に入るよりも洞窟に身を隠すことを選んだのである。
ついに自首「普通の生活を送りたい!」
とはいえ、劉は完全に身を隠していたわけではない。
食料が尽きると故郷の村に戻りジャガイモや肉を盗み、その際には両親と少しだけ顔を合わせていた。両親や妻は何度も自首を促したが、その度に劉は拒否していたという。
だが、1日の大半を一人で過ごし、夜は野生動物から身を守るために引き取った数匹の野良犬との生活を14年間も続けた劉は、年月が経つにつれ、その孤独と発見されることへのストレスに耐えることができなくなってしまった。また、父の葬儀も息子の結婚式にも出られず、大切な人たちから長い間遠ざかっていたことにようやく気付いた劉は、ついに自首することを決意したのである。
逮捕された劉はこう話す。
50歳を過ぎて、妻の健康状態もよくないし、こんなにかわいい孫もいる。普通の生活を送りたいんです!
事件発生から14年が経過し、奪われた金額が少なかったとはいえ、強盗罪は非常に重い犯罪行為であり最低でも3年の刑期は免れないという。劉は後悔を語っているようだが、失われた家族との時間を取り戻すためにもしっかりと罪を償う必要があるだろう。