交際相手の娘を殺害したとして死刑囚に
米ルイジアナ州のアンゴラ刑務所で27年間死刑囚として収監されていた男性が、今年はじめに有罪判決が覆されたことを受け、11月26日に釈放されたと弁護団が発表した。
1993年、交際相手の娘で当時1歳11ヶ月だったヘイリーちゃんを殺害したとして死刑判決を受けていたのはジミー・ダンカンさん(57)。その日、ダンカンさんが一瞬目を離した隙にヘイリーちゃんは浴槽で溺れ意識不明に陥ってしまったという。ダンカンさんは心肺蘇生を試み、近隣住民に911への通報を求めたというが、その後、病院でヘイリーちゃんの死亡が確認された。
この件で、ダンカンさんは第一級殺人罪で有罪判決を受けることとなった。その根拠のひとつは法医学的証拠によるもので、ヘイリーちゃんの遺体に見つかった咬痕が、ダンカンさんの歯型と一致したというのだ。そして、これが決め手となり、ダンカンさんは死刑囚となったのである。
冤罪が晴れ27年ぶりに釈放される
今年4月の判決で、判事は、ダンカンさん側の専門家がその結論を科学的根拠に欠けるジャンクサイエンスだと否定した点を引用するとともに、この件は殺人ではなく事故による溺死とみられることについても述べ、有罪判決は無効とされた。
イノセンス・プロジェクトによれば、今回のケースで使用された法医学的手法が原因とされる誤った有罪判決や起訴は、全米で少なくとも39件にのぼるという。27年ぶりに冤罪を晴らすことができたのは「正義を求める長い闘いにおける重要な前進」であるとし、また、ダンカンさんの有罪判決には「不正な科学捜査」が関与したことを指摘するとともに、彼の収監を「重大な司法の誤り」だと表現した。
11月下旬、支援者らと抱き合うダンカンさんの姿は話題をよんだが、冤罪を生み出した検察や法医学者らには様々な声が上がっているようだ。








