神様が一堂に会するお祭りは、世界各地にある。
しかし、神様が22体も並び、お供え物まで22種類用意するとなると、なかなか壮観である。
インド東部、西ベンガル州ムルシダーバード県のイスランプールには、そんな独特の祭礼が今も受け継がれている。
その名も「バイシュ・プトゥル」。ベンガル語で「22体の人形」を意味する名前だ。もっとも、ここでいう人形とは、単なる飾り物ではない。れっきとした神々の像なのである。
ドゥルガー女神を中心に、神様が大集合
この祭りは、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーをたたえる「ドゥルガー・プージャ」の一種。通常のドゥルガー祭でも複数の神々が登場するが、イスランプールの祭礼では、その数がなんと22体に達する。
中心となるのは、悪を打ち倒す力強い女神ドゥルガー。その周囲には、創造神ブラフマー、維持神ヴィシュヌ、破壊と再生を司るシヴァ、象の頭を持つガネーシャ、学問や芸術の女神サラスヴァティーなど、さまざまな神々や神話上の存在が配置される。
さらに、神々に仕えるナンディやブリンギ、鳥の姿をしたガルダなども加わる。
神話の登場人物が、ひとつの舞台に集結したような光景である。
日本でいえば、七福神だけでも十分ににぎやかなところへ、さらに15体が加わる計算になる。
神様の世界にも、なかなか大規模な集まりがあるものだ。
なぜ22体なのか? 始まりは22人のお客さん
この祭礼には、約300〜350年の歴史があると伝えられている。ただし、正確な創始年代は明らかではない。
地元に伝わる話によれば、その昔、ある宗教施設に22人のヴィシュヌ派の修行者が訪れたという。
人々は彼らをもてなすため、22人それぞれに食事を用意した。
その記憶が、22種類のお供え物をささげる風習につながったとされる。祭りでは現在も、22体の神像に対して22種類の供物が用意されるそうである。
数百年前のおもてなしが、神々へのお供えとして残ったというわけだ。
また、地域で恐ろしい疫病が流行した際、人々が災厄から逃れることを願って祭礼を始めたという伝承もある。
病気や災難を避けたいという願いは、世界の祭りに共通するものだろう。
お祭りの最後は、女神姉妹の再会
この祭りには、もうひとつ興味深い物語がある。
地元の人々は、22体の神像の中心にいるドゥルガー女神と、別の場所で祭られる「ブリ・マー」と呼ばれる女神を姉妹と考えているのだ。
伝承によれば、ブリ・マーは毎年、姉妹に会うためにやって来る。
かつてはバイラブ川に水が豊富だったため、女神を象徴するものを船で運び、川の上で再会の儀式が行われていたという。その再会を経て、神像を水に戻す祭礼の締めくくりが行われた。
現在は川の水量が減り、かつての船を使った行事は行われなくなったと報じられている。
それでも、姉妹の再会という物語は、祭りの大切な要素として残っている。
22体もの神々を集めておきながら、最後は姉妹の再会を待つ。壮大な神話の世界にも、どこか人間らしい家族の情景がある。
神様の数より、残された物語が面白い
22体の神像と22種類のお供え物。
数字の珍しさだけでも十分に目を引く祭礼だが、その背景には、旅人へのもてなし、疫病への恐れ、川とともに暮らした人々の生活、そして女神姉妹の物語が折り重なっている。
宗教儀礼は、信仰だけでなく、その土地の歴史を保存する仕組みでもあるのだろう。
それにしても、22体の神様に22種類のお供え物とは、なかなか気の配りようである。
神様同士で、お供えの取り違えなど起きなければよいのだが。
参照元
- The Indian Express Bangla(2026年10月)
https://bengali.indianexpress.com/west-bengal/murshidabad-baish-putul-durga-puja-22-idols-12686688 - Sanmarg(2026年10月17日)
https://sanmarg.in/amp/story/asansol/this-worship-was-initiated-by-the-bais-putul-community-and-a-landlord-family - Aaj Tak Bangla(2021年10月9日・現地映像あり)
https://bangla.aajtak.in/dharm-religion/video/durga-puja-2021-murshidabad-22-putul-temple-durga-puja-watch-video-suc-304132-2021-10-09 - Aaj Youtube Aaj Tak Bangla https://www.youtube.com/watch?v=r-U8H7iJDQY








