あなたが怖いと思うことを理解できる人工知能
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが人工知能(AI)を利用して、あらゆるものを恐ろしいイメージに作り変えてしまうシステムを作り上げた。その名もナイトメア・マシーン(Nightmare Machine)。悪夢製造機である。
怖いものが苦手な人からすれば、ただただ怖いものを作り出すために人工知能を使うなん、バカなことを!と思うかもしれない。
ただ研究チームが、人工知能の限界を知る上で、とても重要な挑戦だ。と言っているように、これは人工知能に恐怖という感情を学習させるという試みなのだ。
確かにこれまでチェスや囲碁などで、コンピューターが人間に勝つ姿を見てきた。しかし感情というロジカルでないものを、人工知能はどう認識し判断するのか?それを見極めるユニークな挑戦と言えるかもしれない。
そもそも現在の人工知能は、人間のように色々なことを考えられる万能なものではなく、ある特定の事を人間と同じように又はそれ以上のスピードで考えることができる特化型である。囲碁世界チャンピオンを倒した人工知能「AlphaGo」は囲碁に特化、このナイトメア・マシーンは恐怖という感情に特化した人工知能開発という事になる。
恐怖という感情を学習させるために研究チームは、実際に人がいだく恐怖を数多くサンプリングし、その傾向をナイトメア・マシーンに学習させていった。いわゆるデープラーニング(deep learning)だ。
そしてナイトメア・マシーンが作りだした恐怖がコレだ。
怖い。ただ、ここにあるもので恐怖を感じるかは、正直ひとそれぞれかも(あくまで一部なので)。しかし研究チームのホームページにあるハウンテッド・フェイス(HAUNTED FACES)では、あなたの恐怖に特化した恐怖体験できるかもしれない。方法はこうだ。
出てきた画像が怖いか(SCARY)、怖くない(NOT SCARY)かを答える。言っておくが基本的にすべて怖い。ビビるほど怖いものを選べ!
10問答えるとナイトメア・マシーンが、あなたが怖い(ビビるほど!)と感じた部分を理解し、同じ傾向の画像を見せてくれる。大きなお世話である。
このような具合に、恐怖を感じる顔の一覧がでてくる。たしかに怖い。このハウンテッド・フェイスをすることによって、さらにナイトメア・マシーンの学習が深まるそうなので、今後より恐怖という感情を理解して、さらなる恐怖体験をさせてくれるかもしれない。ほんとに大きなお世話である。