急増している摂食障害患者
近年、若者を中心として社会問題になっている摂食障害。
摂食障害とは
単なる食欲や食行動の異常ではなく、1)体重に対する過度のこだわりがあること、 2)自己評価への体重・体形の過剰な影響が存在する、といった心理的要因に基づく食行動の重篤な障害です。
日本でも、1980年以降20年間で患者数が約10倍に急増、しかし実際にはもっと多いと推定されている。
そして、ここに摂食障害で苦しんだ過去を持つ女性がいる。それがオーストラリア、メルボルン出身のソフィー・ガジニク(Sophie Gajnik)さんだ。
幼いころからスポーツが好きで活発な女の子だった彼女。身体に変化が起きたのは大学生になった時のこと。ストレスで体重が倍になったのだ。
元の体重に戻そうと考えた彼女は、過度の食事制限と運動を始め、ダイエットにのめり込んでいく。
ストイックに取り組む彼女は、激しい運動をするにもかかわらず、1日の摂取カロリーが100kcalを超える事はなかった。成人女性1日の必要摂取カロリー1,800~2,200kcal(個人差あり)を考えると、その数字がどれほど極端なものかが、お分かりいただけると思う。
最初は小さな達成感
ダイエットにのめり込んだキッカケは、小さな達成感だった。
福祉系を専攻したものの、自分には向いていないと気付いた彼女は1年もたたない内に、専攻した学科をやめてしまう。それが彼女の気持ちを落ち込ませ、人生に失敗したと思うまでになったという。
そんな時に彼女は、ほんの少しのダイエットに成功する。それは少しきつくなってきたジーンズが、すんなり履ける程度の気軽なものだった。しかし、落込んでいた彼女には、大きな達成感があった。そしてその達成感は次第に脅迫観念へと姿を変え、彼女の身体と心をむしばみはじめるのである。
自分でも気づかないうちに
彼女は、自分が間違ったダイエットを行っていることに気付いていなかったという。
しかし肌は黄ばみ、彼女の身体は確実に傷つきはじめていたのである。
タイに旅行へ行った時も、気温30度を超える中、毛布とヒーターが無いと寝れないほどになっていた彼女。そしてその環境が、さらに彼女から5㎏の体重を奪う。この時体重は25㎏を切っていた。にもかかわらず彼女は喜んでいたという。
確実に忍びよる死
しかし彼女の身体は限界に達していた。鉄分欠乏症、低血圧、肝臓障害、極度の生理不順等、様々な症状があらわれ、髪の毛は指を通すと、50本は抜け落ちるという状態にまでなっていたのだ。
この状態になって、初めて彼女は自分には助けが必要であると気付いたという。
彼女は医師の診断を受け、自分が摂食障害であることを認めた。死から逃れるために、そして本来の自分を取り戻すために。
あらたな出会い
自分のペースで少しづつ回復していった彼女、体重を50㎏にするのに1年がかかった。そして新たな出会いが訪れる。
彼女が住むマンションの近くに、新しくジムができたのだ。体調を崩して以来、社会との繋がりを失っていた彼女は、ジムで働くことを決意。
そこで出会ったボディービルディングに魅了された彼女は、さらに健康な身体と、前向きな心を手に入れたのである。
今ではジムのマネージャーとして働く彼女、過度なダイエット、それが原因による摂食障害、そしてそこからの回復。その経験が誰かの助けになればと色々なアドバイスをしているということだ。