朝起きたら、雪が驚くほど降っていた。
何やら関東では4年ぶりの大雪のようである。
この雪のように真っ白なホワイト企業にお勤めの方々は、おそらく今日は休みになったりしたことだろう。
だが一方で、我々ブラック企業に勤めるサラリーマンはと言うと、雪が降ろうと槍が降ろうと、例え吐血しようとも出社しなければならないのである。
雪が降り積もる中、駅に着くとやはり雪の影響で電車は遅れ、改札前の上り階段は混雑していて順番待ちをしている状況であった。
もちろん俺もそのバーゲンセールのような混雑に巻き込まれ、大人しく順番を待っていたのだが、周りを見ると一同が皆、顔をうつむけていた。
週末ならまだしも、週明けからこの雪である。
「やる気も出ずにうつむいているのだろう」と最初はそう思ったのだが、ふと階段の上の方を見るとこんなに寒い中、丈を短くしたスカートをはいている女子高生が5,6人いるのを見つけた。
俺はこの時すべてを察した。
「こんにちは」と女子学生に挨拶をするだけで警察に通報されるようなこのご時勢だ。
きっと、ここにいるサラリーマン達はパンツを見た見ないで争いごとに巻き込まれるのが嫌なのだろう。
なんと情けないことだろうか。
日本を支えるサラリーマン達が、たかが女子高生のパンツ一枚や二枚を見ないために下を向く・・・果たして、それでいいのか?いや、いいはずがない。
我々サラリーマンが下を向いていいのは、上司に怒られたときと、妻に浮気がバレたときだ。
言わずもがな、もちろん俺は上を見上げていた。
いや、俺のサラリーマンとしての揺ぎ無いプライドがそうさせたと言ったほうが正しいだろう。
勘違いしないで欲しいが、別に俺は女子高生のパンツを見るために上を見上げていたわけではない。
日本の輝かしい未来を、日本の明日を見ていたのだ。
「白か・・・」
一体、何のことかは不明だが、俺はそう呟いた。