緊張が走るロシア─ウクライナ関係
ロシアとウクライナ。この二国間には、領土問題、言語・歴史認識の違いなど争いの火種が絶えない。
先日もクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋が開通したばかり。クリミアにおけるロシアの実効支配が進むのではと話題になっている。
その裏で、この二国間の争いに巻き込まれた、ある悲運な動物がいる。
水族館でよく見かける、あの人気者である。
戦争に利用される海の生き物達
皆さんは、戦争に「イルカ」が利用されていることをご存知だろうか。
画像は米海軍に所属するイルカ
例えばアメリカ海軍には、1959年以来、賢い海の哺乳動物(イルカやアシカなど)を訓練する専門部隊が設置されている。彼らは優れた遊泳能力や探知能力を持つため、海難救助や水中機雷の探知などの任務を担っているのだ。
ちまたに流れるウワサでは、イルカの体に魚雷を取り付け特攻させる訓練だとか、頭にコンバットナイフや銃を取り付けて白兵戦をさせる訓練なども行われているとか。もちろん、根も葉もない話である。
だが、アメリカ以外にも「イルカ部隊」を持つ国が複数存在するのは事実。ウクライナもそのひとつだ。
動画は海軍によって訓練される海の生き物達
ロシアに盗まれたウクライナの軍用イルカ
ウクライナでは、イルカやアシカを軍用に訓練し利用している。
しかし、2014年に勃発したクリミア危機の際、ウクライナの軍用イルカ達が、侵入したロシア軍によって「盗まれた」というのである。
ウクライナ政府はロシアにイルカ達の返還を要求。しかしロシア側は拒絶した。
長い間消息不明であったイルカ達。しかし先日、ウクライナの政府が、「ロシアに盗まれたイルカ達は、ほとんど死んでしまった」ことを発表したのだ。政府の見解は、「侵略者ロシアに従う事を拒み、ハンガーストライキによって餓死した」「イルカ達は愛国心を持って死んだ」とのことである。
これに対し、アメリカのメディアは、「イルカが愛国心などの概念を理解し、政治的な動機によって食事を放棄するとは考えにくい。死んだ理由はストレスか、ロシアの育成環境がおそまつだったからだろう」と報道した。
「愛国心を持つイルカ」はウクライナによるプロパガンダなのだろうか。
さんざん道具のように扱われた上、死んだ理由まで人間の争いに利用されるなんて、イルカも浮かばれないだろう。
参照元:IFLScience、Youtube