釈放に向け募金活動が始まる
アメリカ南東部に大きな爪痕を残した、ハリケーン「フローレンス」。甚大な被害を残しながらも、人々は助け合いながら復興へ向かっている。
動物たちもまた災害に苦しんでいる。しかし先日、ハリケーンの被害を受けたペットを助けたという女性が、突然逮捕されることとなったのだ。
その理由は、彼女がペットに施した傷の手当てであった。
逮捕されてしまったのは、タミー・ヘッジ氏。ノースカロライナ州のNGO団体「Crazy’s Claws N’ Paws」の代表者として活動していた。
数年前に設立されたこの組織はアニマルシェルターを運営しており、普段は野良犬などを救助しているのだそう。今回は、ハリケーンの混乱で迷子になっていたネコ17匹とイヌ10匹を保護していた。
中には怪我をしているペットもおり、ヘッジ氏は近隣の100円ショップで塗り薬を購入し、彼らに処置をしたのである。
しかし、これによって大きな問題が起こってしまった。
ハリケーンが去った9月17日、突如、農務省の依頼を受けた調査員が同施設に現れた。理由は、ヘッジ氏が獣医師免許を持っていないにもかかわらず、抗生物質を含む軟膏を使用したからであった。
他にも、飼育環境の悪さなど複数の違反をしていたとされ、ヘッジ氏は警察に逮捕されてしまった。
一方で、他の職員は「ケアは十分に行き届いていた」と話しており、動画を見ても、そこまで酷い様子は見られない。
これを受け、同施設の職員のキャシー・デビッドソン氏は地元メディアの取材に対しこのように語った。
彼女は自分ができる限りのことをしたまでです。もしヘッジが助けなければ、ネグレクトや虐待の傷をそのままにしていたと言われ逮捕されていたでしょう。
一体彼女はどうすればよかったんですか?私たちはただ動物たちを助けたかっただけなんです。
その後、ヘッジ氏は112万円(1万ドル)の保釈金を支払い、一時的に釈放された。
デビッドソン氏はこれを違法であるとして、弁護士を雇って法廷で闘う姿勢を示している。裁判のための資金もクラウドファンディングで集められ、わずか5日で目標金額に達していた。
命を救おうとして手当てをした女性が逮捕されるなんて、世知辛い世の中である。知らずに薬を塗ってしまったヘッジ氏の過失とはいえ、犬は回復しているとのことなので、刑を免れられるよう祈るばかりだ。