自身に危機が迫る中も
9月28日午後6時3分ごろ、インドネシア・スラウェシ島でマグニチュード7.5の強い地震が発生。間もなく、6メートルもの津波が発生し、震源近くのスラウェシ島中部のパルとドンガラは甚大な被害を受けた。
国家防災庁によると、10月1日現在で死者は少なくとも832人にのぼっているという。
上の動画では、複数回にわたって津波が襲い、下では家屋や中に人が乗ったまま足止めされてしまった車が水浸しになっている。
その時、17秒ごろに激しい勢いをもった津波が到達し、瞬く間に建物を押しつぶしていく。凄まじい波の勢いは、2011年の東日本大震災を彷彿とするほどである。
この様な恐ろしい状況の中、自分の命にも危険が迫っていながらも人命救助を優先し、この世を去った英雄がいる。
Telah wafat saat menjalankan tugasnya sebagai personel layanan navigasi penerbangan, Saudara Anthonius Gunawan Agung, Air Traffic Controller (ATC) AirNav Indonesia Cabang Palu pada Sabtu (29/09).#RIPAgung #DoaUntukSulteng#PrayforDonggala #PrayforPalu pic.twitter.com/6Wpobp3R7m
— AirNav Indonesia (@AirNav_Official) 2018年9月29日
彼の名前は、グナワン・アグン。管制会社”エアーナビ”インドネシア支店で航空管制官をやっていた、21歳の男性である。
地震が発生した当時アグンさんは管制塔にいたというが、避難指示をされるもそれを拒み、建物の中に残っていたという。
そして旅客機が安全に離陸するのを見守った後、管制塔は1階から崩落をはじめた。アグンさんは4階の窓から飛び降りて逃げようとしたものの、地面に衝突した衝撃で両足を骨折する重傷を負ってしまったのである。
すぐさま救急車で近隣の病院に運ばれるも、集中治療を行える病院への移送を待っている中、29日朝に死亡が確認された。
#RIPAgung pic.twitter.com/hLLaLRDCCC
— AirNav Indonesia (@AirNav_Official) 2018年9月29日
エアーナビはアグンさんの勇気ある行いを讃え、異例の2階級特進となった。彼の遺体は家族の要望により、マッカサル近くの出身地に埋葬されることとなった。
これ以上尊い命が失われず、1日も早く人々に元気が戻ってくることを願うばかりである。