良い話かと思いきや厳しい声が
みなさんは、暴虐を極める金持ちから金を盗み、貧しい人に分け与える、ロビン・フッドの物語をご存知だろうか。
アウトローでありながら、貧しい人への慈愛に満ちたキャラクターから多くの人に愛されている。
こんなロビン・フッドそっくりな行動を起こしたというとある銀行員が、昨年10月に逮捕されたという。
逮捕されたのは、イタリアのウーディネにある小さな町の銀行で支店長を務めていたギルベルト・バスキエラ。
彼は逮捕までの7年間、なんと約1億2400万円(100万ユーロ)にものぼる金額を盗んでいたことが発覚した。
しかし、バスキエラ容疑者は実際に着服はせず、経済的に豊かな人の口座から、貧しい人の口座に少しずつ移していたのである。
地元紙コリエール・デラ・セラの取材にて、バスキエラ容疑者は「私の仕事は困っている人を救うためのものだと思っていました。」と語っており、正義感から不正送金をしたと主張。
イタリアのメディアは「現代のロビンフッド」と称して大きく取り上げたが、一方でバスキエラは逮捕され、職も家も失うこととなったという。
彼の弁護士であるロベルト・メテ氏は、今回の事件を「普通の方法ではローンすら組めない人を彼は助けたがっていた」と擁護。
送金先は、クレジットカードやローンの審査に通らない人に絞っており、バスキエラが預金残高を増やすことで審査に通るようにしていたのだ。
更にメテ氏は、彼はローン返済後に返金してくれると信じていたと明かしており、顧客を信用して送金していたことが伺える。
お金を受けとった人物は、約1000人にも上ったという。
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一見素晴らしい行いのように聞こえるが、この事件に対しネット上では批難が生じている。
「ロビンフッドは貧しい人々から巻き上げられた金を奪ってたんだ。コイツとは違う」といった声はもちろん、「人の金ならいくらでも気前よくなれるだろうな」といった厳しい声も散見された。
中でも特に、支払い能力がない人にローンを背負わせるわけにはいかないといった声が最も多かった。
ローンの審査は正当な理由があって設置されている。現代は義賊が支持される時代ではない・・・ということを強く物語る出来事であった。