パイプラインから噴き出るガソリンに引火か
1月18日、メキシコ中部にあるイダルゴ州トラウエリルパンにて、パイプラインから窃盗団と住人がガソリンを盗もうとしていたところ爆発し、70名以上の死者をだす事故が起きた。
その日、窃盗団はパイプラインに穴をあけており、爆発前には石油が大きく地上に噴き出していたという。
そこに地元住民などが次々とやってきて抜き取ろうとしていたところ、何かしらが原因で引火。火は一瞬にして燃え広がり、数十メートルもの高さの火柱が立ちのぼったという。
下の映像は、その現場の様子を捉えたものだ。(ショッキングな映像につき閲覧は注意してください。)
最初の映像には、普段着のままガソリンを注ぎに行く住民たちの姿が写しだされる。これだけでも非常に危険だというのに、お祭りのような賑わいを見せている。
しかし夕方、何かしらが原因でガソリンに引火。草原には火だるまになった人々が走り回り、まるで地獄のような状況に陥った。
19日の記者会見において、同州のオマル・ファヤド知事は、犠牲者は少なくとも73人にのぼると発表。2日後の21日には、更に6人増え79人となったという。
これに対し、国営石油企業「ペメックス」は、爆発はパイプラインの窃盗行為が原因と声明を出しており、他の市町村へのガソリン供給には問題はないとしている。
警察は現在も出火原因などについて捜査中だ。
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ここ2週間、メキシコ市やその他6州でガソリンが不足しており、スタンドや給油所には長い行列ができるなどの混乱が起きているという。
これは昨年12月に発足したロペス・オブラドール新大統領政権が、増加するガソリンの盗難事件をうけ、複数のパイプラインを止めたことが原因だ。
石油の盗難は1日あたりタンクローリー600台にのぼるとされ、それは麻薬カルテルの資金源にもなっている。一方で、政府のこの急激すぎる対策によって、多くの罪のない住民たちは燃料不足にあえいでいる。
車は人々の生活の足だ。一刻も早い正常化が望まれるばかりである。