命取りとなる寒さの中に
ヨーロッパは無賃乗車に非常に厳しく、発覚した場合は乗車を拒否されることがある。とはいえ、一歩間違えれば命取りとなる寒さの中に客を放置するのはいかがなものか。
1月後半の早朝のこと。ウクライナの医学生であるイリーナ・ドヴォレスカさん(21)は、その日、入院中の母のお見舞いに行こうと、バスで病院に向かっていた。
そんな中、彼女は家に財布を忘れており、バス運賃99円(25フリヴニャ)が払えないことに気づいたという。
わけを説明するも運転手はそれを許さず、なんと彼女は無理やり降ろされてしまったのである。その場所は氷点下20℃にも及ぶ森林公園の中で、早朝4時の暗い闇に包まれていたという。
そんな中でもイリーナさんは諦めず、森林公園を突っ切っていけば病院にたどり着くだろうと考えていたとみられ、そのまま森の中に歩いて行ってしまった。
そのまま姿を消し、レンジャー隊の父親が捜索したところ、失踪から2日後に遺体で発見。司法解剖の結果、低体温症による心肺停止が死因であることがわかった。
当時の状況を知る父親はイリーナさんのおばにたいし、「彼女は目を開けたまま息絶えており、その目には恐怖が宿っていました。」と語っていたという。
その後の家族の発言によると、彼女は少しでも長く母親と居ようと、始発のバスに乗って向かっていたという。家を出る際に急いでいたために、そのまま財布を忘れてしまったのだろう。
イリーナさんは今年で大学4年生で、卒業を間近に控えていた。将来有望で家族思いな娘を亡くした家族は深い悲しみに包まれている。
参照元:Mirror.co.uk、Facebook、