カナダ、オンタリオ州でみられた美しすぎる気象現象
まずこちらの写真を見ていただきたい。これはカナダ在住の写真家、ティモシーさんが、深夜に目を覚まして見つけたものだ。
暗闇に浮かび上がった、何本もの光の柱。しかもそれぞれに違う色に光っている。なんと幻想的なのだ。
未知との遭遇か!?と思いきや、実はこれは、光柱(こうちゅう)と呼ばれる気象現象。
氷の結晶によってうまれる幻想的な世界
光柱とは、空気中の氷の結晶が上空から地表に落ちてくる際、空気抵抗の関係からほぼ地面と水平の状態になる。
この水平になった状態の氷の結晶に、地表にある人工的な光が当たることによって、あたかも光の柱があるように見えるのである。
ただし、光柱が見られることは稀。条件として風が地上だけでなく上空にも吹かず、さらに氷点下10~20度以下でないと見ることはむずかしいそうだ。
今回、様々な色の光柱が現れたのは、道路上の信号や、家庭からの光を受けたのが原因とのこと。それにしても幻想的だ。
こういった光柱、日本でも見られることがある。ただし、地上ではなく海上で。
これは、山口県下関市の角島の沖合で見られた、漁火光柱(いざりびこうちゅう)だ。
夜間に漁船などで沖合にでて漁をする際に必要な船上の灯り、漁火(いさりび)を光源として光柱が現れるのである。
似たような現象も・・・
光柱のような現象は、実は他にもある。
太陽柱(たいようちゅう)
サンピラー(Sun pillar)と呼ばれることもある太陽柱。
太陽柱が現れるのは、日の出か日没のタイミングのみ。つまり、光源は太陽の光。
太陽から真上に伸びるひとすじの光、美しい。なにかのお告げっぽい。
ちなみに、月でも同じような現象はみられ、月柱と呼ばれている。
宮沢賢治の物語のモチーフにもなった?
実は光柱は、有名な物語の中にも登場しているらしい。
その物語とは、宮沢賢治が書いた銀河鉄道の夜だ。
ジョバンニは、頂の天気輪の柱の下に来て、どかどかするからだを、つめたい草に投げました。
これは、第5章「天気輪の柱」の中の1節。
物語の主人公ジョバンニが、身体を投げ出した天気輪の柱こそ、光柱をモチーフにしたのではないかと考えられているのだ。
この後ジョバンニは、銀河鉄道の世界へといざなわれていくわけだが、なるほど、光柱の幻想的な雰囲気とピッタリではないか。もしや宮沢賢治も光柱を目にしたのであろうか。
私も、一度はこの目で、この美しく幻想的な気象現象を目にしてみたいものである。