市の汚職に抗議する横にご本人が
東欧のウクライナでは腐敗や汚職が蔓延しており、民間人はこれに対し強く不満を訴え、各地でデモを行っている。
先日3月1日にも、首都キエフからほど近いオレフスクという街で、市に対する抗議集会が行われていた。その様子がフェイスブックに公開されていたが、その片隅に驚くべき人物が写り込んでしまったという。
なんと、市長ご本人である。
Мер Олевська прийшов на мітинг проти себе. Мера ніхто не впізнав. Мер – троль 80 рівня. pic.twitter.com/xbtSFRN4RK
— Тарас (@tarasmi) 2019年3月2日
赤矢印でさされているのは、なんとオレフスク市長であるオレグ・オメルチュク氏。
ポスターに書かれているのは、「市長とその手下たちが社会の権利を侵害している!!」という文言だ。
市長ともなれば最も汚職の嫌疑がかけられているだろう立場。自分のことを抗議されているように思っているのか、なんとも肩身の狭そうな顔である。
このシーンは地元メディアの編集者が激写したもので、彼がツイッターにアップしたところ、ウクライナ国内で拡散し始めたという。しかし、中には「本当にこんなことがあったの?」と疑う声もポツポツと上がってきたという。
そこで反論したのは、オレフスクの反汚職NGO団体「ストップ・コラプション」のジャーナリスト。
フェイスブックの投稿によると、3月1日、市役所の前で抗議集会を行っていた際、オメルチュク市長本人が彼らと議論をしようと役所から現れたのだという。
市長かけられたいくつかの汚職疑惑に関して討論した後、参加者たちから「一緒に記念撮影をしませんか」と持ちかけられたのである。
さらに参加者の一人が「ポスターを持ってくれませんか?」と申し出たところ、市長は和解の印と思ってか、喜んで引き受けてしまったようだ。ポスターに何が書かれているかも知らずに。
当時現場に居合わせていた、同団体のジャーナリストは「写真を撮られるまで、ポスターの表面を読んですらいなかったようです」とフェイスブック上で語っていた。
市長は、市の予算資金や土地の横領など、いくつかの刑事訴訟を起こされている。抗議団体から嫌われているのも無理はない。