急にあたりが真っ暗に・・・
南アフリカで動物カメラマンをしているライナー・サチモフ氏は、この日、海に潜ってイワシの大群を撮影していたという。
しかし突然、サチモフ氏の目の前が真っ暗に。驚くことに、クジラに体をまるごと飲まれそうになってしまったのである。
動物専門メディア”Barcroft Animals”の報道によると、その時サチモフ氏は、イワシを食べようとするサメを撮影しようとしていたそう。
しかし、あたりが急に真っ暗になり、腰のあたりを何かで挟まれているような圧迫感を感じたという。
彼自身は自分に何が起こっているのかよくわかっていなかったというが、船に乗っていた別の写真家がその瞬間を激写していた。巨大なクジラに上半身をぱくりとたべられ、口の横からサチモフ氏の下半身がはみ出している光景である。
その瞬間、彼はとにかく息を止めることしかできず、遠くに連れ去られたりしないことを強く祈ったという。そこで幸いにも、二秒くらい経ったところでクジラの口から解放され、自分が助かったことに気づいたという。
「クジラが体を回転させていると感じたと思ったら、はさまれた腰が解放されるのがわかりました。水面に戻った時には、『相当アホに見えただろうな・・・』と思いましたよ。」
飲み込みかけたのは、イワシを好んで食べるニタリクジラという種。
当時一緒にいたダイビングコーチ、クラウディア・ギルバート氏によると、クジラは口を開いている間は前を見ることができないのだという。そのため、彼をイルカだと勘違いしたのだろうという。
そして、クジラは人を捕食したりはしないため、これは攻撃ではなく事故だったと推測されるという。取材の中では、クジラのことを「穏やかな巨人」と喩えていた。
また、クジラは人間のような大きなものを飲み込むことができないという。ニタリクジラといったヒゲクジラの仲間の食道は、プランクトンやオキアミ、イワシのような小さな獲物に適したサイズとなっており、とても細いためである。
しかし、このようにクジラに飲み込まれるなんて体験は前例がない。
とはいえサチモフ氏は今回きりにしたいそうで、9ニュースの取材では「もしあれがサメだったら死んでいたでしょう。もう2度とあんな思いをしたいとは思いません。私はクジラに吐き出してもらった・・・ただそれだけです。」と語っていた。
参照元:Science Alart、Youtube