故人が愛したサッカー場で
大切な友人の前ではどうしてもしんみりしてしまうものだが、やはり故人が一番好きだったものとともに供養するのが一番だろう。
そう考えたとある南米のサッカーファンたちが、観客席に驚愕のものを持ち込んだ。そう、故人がはいった棺である。
Last week we saw the Racing fan taking his granddad’s skull to the celebrations around Buenos Aires.
Today, we’re off to Cúcuta in Columbia where 17 year old Christopher Jácome, murdered the previous day, was taken from his home and to the match. In his coffin. pic.twitter.com/8DiAIezmDJ
— John Milton ✊ #IfRafaGoesWeGo (@Geordioca) 2019年4月7日
こちらの写真が撮影されたのは、2月4日にコロンビアで行われた、ククタ・デポルティーボFC対エンビガドFCの試合である。
0-1でククタが負けている時、赤いユニフォームが目立つククタのサポーター席に突如大きな棺が現れた。
のちのレポートによると、棺の中には17歳で亡くなった少年の遺体が入っていたという。彼は試合観戦を楽しみにしていたというが、数日前に殺人事件に巻き込まれ、命を落としてしまったのだ。
友人たちはどうしても少年とともに試合を見たかったのだろう。彼らは遺族たちに許可を取り、棺をサッカースタジアムに運び込んだのである。
すると、この棺が観客席に現れたとたん、ククタの選手がゴールを決めたのだ。これにより、試合は1-1の引き分けに終わったという。
きっと亡き少年は、友人たちとサッカーを楽しめて幸せだったことだろう。
またこの数週間前にも、アルゼンチンのサッカースタジアムにも、本物の頭蓋骨を持って観戦していた男性が現れていた。
道ゆく多くの人から怪訝な目で見られていたというが、当時現場にいたレポーターが男性に直撃したところ、なんとも切ない回答があった。
The only thing stranger than the Racing fan who took his grandad's skull to the title celebrations? This reporter who tried interviewing it pic.twitter.com/gmYGvOVFt7
— Matias Grez (@matias_grez) 2019年4月2日
なんとこの頭蓋骨は、亡くなったおじいちゃんの骨。おじいちゃんもまた生前もサッカーが大好きだったそうで、供養として連れきたのだろう。そんなおじいちゃんにもインタビューを試みるレポーターがなんともシュールである。
本物の遺体を持ってくるあたり衝撃的だが、亡くなってもなお故人を愛し続ける南米の人々に、感動を覚える人も多いだろう。陽気ながらもどこかホロリとくる出来事であった。