政治家のふりをして90億円詐取!?
6月初頭、米俳優ジョージ・クルーニーのふりをして詐欺を働いていたイタリア人夫婦が逮捕されたのは記憶に新しいが、一方で、フランスでは更に巨額の詐欺事件が発生していた。
被害総額は、なんと
今回犯行グループが化けたのは、フランスの現外務大臣、ジャン=イヴ・ル・ドリアン氏。執務室を模したセットを作り上げ、精巧なシリコンマスクを装着し、スカイプでターゲットを騙していたという。
「身代金を要求されている」犯行グループの巧妙な手口
ターゲットは主に、実業家や政府関係者といった富裕層。「中東のイスラム過激派組織にジャーナリストが拉致されており、身代金を要求されている」という内容で、寄付を募っていたという。
方法は極めてシンプルだったが、非常によく考え抜かれていた。犯行グループはドリアン氏の関係者のふりをし、フランス国内外のターゲット両方に連絡を取り、いかにもドリアン氏本人からの申し出であると演出。
更に犯行グループは、ドリアン氏の声を完璧に再現した状態で電話をし、更に駄目押しとしてスカイプ通話に切り替え、ターゲットに本人だと信じ込ませていたのだ。
この詐欺は2015年から2017年まで行われていたが、嘘を見抜いた人もいた中で、多くがこの嘘に騙され高額の寄付してしまったという。
被害者には、イスラム教イスマーイール派指導者、カリム・アーガー・ハーン4世をはじめとした多くの実業家や著名人がいたというが、この出来事に関してコメントを差し控えている。
こうして2017年、フランスの警察当局は、首謀者のチュニジア系ユダヤ人、ギルバート・チクリ容疑者を逮捕。携帯電話にはシリコンマスクを購入するための通話履歴が残っており、これが逮捕の決め手となったという。
しかし、チクリ容疑者が収監された後も、同様の事件が発生しており、フランス人とイスラエル人からなる三人の容疑者を逮捕したという。この三人がチクリ容疑者との共犯だったか、それとも模倣犯であったかについては現在も不明である。
いずれにせよ、今回の事件が巨額詐欺事件として歴史に刻まれるのは想像に容易い。