かつてのいじめっ子を殺害した男性が逮捕
いじめ問題というのは世界中で後を絶たないが、残念ながらほとんどの場合、先生やカウンセラーに相談してもいじめっ子が罰を受けることはない。それどころか、いじめられっ子が転校や我慢を強いられるのが現実だ。
今回の事件の容疑者も同様に、高校時代に受けたいじめによって、心に深い傷を抱えて過ごしてきたという。その結果、53年後の先日、同窓会で再会したいじめっ子を射殺してしまったのだ。
事件が起きたのは、タイ中部に位置するアーントーン県。8月24日、ここで地元高校の同窓会が開かれており、容疑者のタナパット・アナケスリ(69)が出席していたという。動画中にある赤い丸がされている写真は、凶行に至る直前に撮影された容疑者の姿である。
当初は53年前の友人らと食事を楽しんでいたというが、アナケスリ容疑者はそこで、いじめの主犯格であるスーサット・コサヤマット氏と再会。
アナケスリ容疑者はその場の楽しげな空気に乗じ、コサヤマット氏に対し16歳の頃のいじめについて質問したという。容疑者は彼から詫びる言葉が欲しかったのだろう。
だがコサヤマット氏が「覚えていない」と口にして謝罪を拒否したことから、アナケスリ容疑者は逆上。懐から拳銃を取り出し、彼に撃ち込んだのである。
その後、アナケスリ容疑者は現場から逃走。当時、同窓会にいた同級生の一人は、警察に対してこのように語っていた。
「アナケスリは酔っており、コサヤマットにいじめられてどんなに腹立たしかったか、これまでにもよく話していました。彼は絶対に昔のことを忘れないでしょう。
しかし、ずっと昔に起こったことです。私はまさか、アナケスリが彼をこんな風に殺すだなんて思いもしませんでした。ただただショックです。」
拳銃で撃たれた後、コサヤマット氏は病院に搬送されたが死亡が確認された。月曜日の8月26日に近隣の仏教寺院で葬儀が行われ、大きなショックを受けた友人らが再び参列したという。
地元当局の捜査官によると、現場では9ミリ弾の薬莢が発見され、他にも周辺にはダミーとみられる弾倉が見つかっていた。彼は銃の所持許可証をもっていなかったという。
その後、アナケスリ容疑者は殺人罪で指名手配され、周辺地域で捜索が行われている。
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この事件を受け、ネット上では「自業自得だ」という声が多かった。また、アナケスリ容疑者が53年間どれだけ苦しんでいたかがうかがえるが、彼が手を汚す必要はなかったはずである。
連休や夏休みが終わり、いじめやパワハラに苦しんでいる人も多いだろう。だが、彼のように殺そうなどとは決して考えず、保護者や信頼できる人とともに弁護士に相談してみてほしい。