保護されたにも関わらず失われた尊い命、、、
タイ・カンチャナブリー県にある「タイガーテンプル」は、トラと触れ合える世界でも珍しい観光名所として知られていた。
密猟者に親を殺された子トラを保護したことをきっかけに「トラの孤児院」としてスタートした同寺院だが、虐待や闇取引の実態が明らかになり2017年に閉鎖となった。
タイの野生生物当局によって計147頭のトラが引き取られたというが、タイガーテンプルの虐待の影響で、わずか2年たらずで今年までに86頭が死亡してしまったという。
地元当局によると、タイガーテンプルはこれまで様々な闇取引に関与しており、トラの毛皮を不正に売買していた。2017年のニュースでは、大量のトラの死骸や、瓶詰めになった赤ちゃんトラの死骸が次々と発見されていたという。
こうしたことから、動物愛護団体や世論の圧力を受け、タイガーテンプルは閉鎖。しかしその一方で、動物園として国から認可がおり、すでに建設が始まっているのだ。
虐待が発覚した2016年から、当局による保護が始まり、トラたちは現在2つの野生生物保護区に住んでいる。しかし今年8月、当局はメディアに対し、多くのトラが咽頭麻痺で死亡してしまったと明かした。
これは免疫系統の弱いトラに発症するウイルス性の呼吸器疾患で、免疫の弱さは近親交配によるものだと指摘された。
だがタイガーテンプルの元管理人はこれを否定しており、「政府が用意した環境が劣悪だったために起こった」と主張している。
野生からの動物の連れ去りに反対する”ボーン・フリー財団”の会長は、「タイガーテンプルから救出されたトラが半数以上も死んだことは、率直に言っておかしい。タイ政府は独立した調査を行い、結果を公開すべきです。」と語る。
タイ政府は声明の中で、残り61頭のトラの世話を続けているという。飼育環境はストレスが少なく、獣医による定期的な検査も続けているという。