今、ある女性の人生が変わろうとしている。
そのきっかけは、ロサンゼルス市警の公式Twitterに投稿された一本の動画だった。
美しい歌声を警察官がSNSに投稿
9月24日、米ロサンゼルスにあるウィルシャー・ノルマンダイ駅にいた警察官は地下鉄のホームに響き渡る美しい歌声に耳を傾けていた。声の主は、カートに荷物を載せ、たくさんの袋を抱えるホームレス女性である。
4 million people call LA home. 4 million stories. 4 million voices…sometimes you just have to stop and listen to one, to hear something beautiful. pic.twitter.com/VzlmA0c6jX
— LAPD HQ (@LAPDHQ) 2019年9月27日
彼女のあまりに美しい歌声を共有せずにはいられなかったのだろう。警察官は27日、次の文とともに動画を投稿した。
ロサンゼルスを地元だと呼ぶ人は400万人いる。そしてそこには400万の物語や声があるだろう。時には立ち止まり、その美しい声に耳を傾けてみるべきかもしれない。
すると、この投稿は瞬く間に拡散され、翌日にはニュースで取り上げられることとなったのである。
不幸が重なりホームレスに
20代の頃にロシアからアメリカへ移住してきたエミリー・ザモウルカさん(52)は、3年前までバイオリニストとして生計を立てていたという。だが、商売道具のバイオリンが盗まれ、ときを同じくして深刻な病気を患ってしまった。以後、ホームレス生活を続けているという。
今回拡散されたエミリーさんの歌声は多くの人の心を動かし、彼女がホームレス生活から抜け出せるようにと「Go Fund Me」で募金活動がはじまった。集まった金額はすでに820万円を超えており、エミリーさんの希望通り住まいを探しバイオリンを購入できる日もそう遠くはないだろう。
音楽関係者の目にとまりオファー殺到
だが、これだけにはとどまらなかった。
彼女の素晴らしい声に反応したのが音楽関係者である。現在、コンサートや有名オーディション番組への出演オファーが殺到しており、一夜にしてエミリーさんの人生は変わることとなったのだ。
今月5日、地元のイベントに招待されたエミリーさん。本格的に声楽を学んだことはないようで、この日も動画と同じプッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」の「私のお父さん」をステージで披露したという。また、動画を撮影した警察官とも対面を果たし「こんなことが起きるなんて信じられません。」と感謝の意を述べることができたようだ。
まさにアメリカン・ドリームとも言えるこのニュース。ロサンゼルスに約6万人もいるといわれるホームレスだが、その声に耳を傾けた警察官もまた素晴らしいと思うのである。
参照元:Twitter