殺し屋が殺し屋を雇い、またその殺し屋も・・・
殺し屋やヒットマンはフィクションの世界のものだと思われがちだが、世界中に案外普通に存在しているらしい。そのせいか、まるで大企業から中小企業への発注のような事件が発生した。
事件が起きたのは、中国・広西チワン族自治区。
ここで、殺し屋が殺し屋を雇い、その殺し屋がまた別の殺し屋を雇い・・・ということを繰り返した結果、5次下請けといえる殺し屋が、報酬の少なさに不満を持ち、殺しを行わずにいたというが・・・うっかりミスから警察に通報されてしまったのだ。
事件を報じたBBCによると、殺人を依頼したのは、タン・ヨウヒュイと報じられている地元のビジネスマン。依頼人とターゲットの間には、長期にわたる法的紛争が続いていたという。
ここから、依頼人は裁判によって大金を失うのことを恐れ、裏で殺すことを決意。依頼人は約3060万円(200万元)を殺し屋に支払い、殺人を依頼したのである。
しかし、その殺し屋も、また別の男に約1500万円で殺人を依頼。なんと中間マージン50%である。
これで殺人が行われると思いきや、なんとその殺し屋も別の男を雇った。さらに驚くべきことに、この殺し屋も別の殺し屋を雇ったのである。
これが繰り返され、5次下請けともいえる5人目の殺し屋に渡されたのは、わずか150万円。
この報酬の安さに憤慨した第5の殺し屋は、ターゲットであるウェイ氏に接近。カフェでウェイ氏に標的にされていたことを伝えたあと、殺されたふりをすることを提案した。ウェイ氏に猿轡をつけ、殺したことを証明する写真を偽装し、ウェイ氏は10日間身を隠したという。
ところが第5の殺し屋がウェイ氏の元にうっかり携帯を置き忘れていた。ウェイ氏はその携帯を持って警察に通報したという。ここから2016年、殺人に関与した、依頼人と殺し屋計6人が殺人未遂で逮捕された。
2016年に1回目の裁判が行われたが、6人は証拠不十分で無罪判決となっていた。しかし、検察官はこの決定について上訴し、2回目の裁判が始まったという。
その後、3年に渡る裁判の末、依頼人は懲役5年、1人目の殺し屋には懲役6年の実刑判決が下った。
また、第2の殺し屋は懲役3年、第3と第4の殺し屋は懲役3年3ヶ月、そして通報した第5の殺し屋には懲役2年7ヶ月が命じられた。