破綻したベネズエラでおカネが紙切れに
原油産出国であるベネズエラは、世界的な原油価格安によって2012年からハイパーインフレーションが続いている。これにより、生活必需品といった物資も慢性的に不足するようになり、なんと全国民の一割が国外脱出する異常な状況にある。
そんなベネズエラにて、近頃奇妙なものが売られているのだという。
Venezuela's currency: Worth more as craft paper than as money https://t.co/Wu06ScphrV pic.twitter.com/1E4f9Q8kN4
— Al Jazeera English (@AJEnglish) December 25, 2019
カラフルな工芸品のようにも見えるこちらのグッズ。なんと、すべて紙幣である。
コロナウイルスの影響によってハイパーインフレにも拍車がかかり、国民の資産はほとんど無価値となり、お金は紙切れとなってしまっている。
そこで、ベネズエラ・カラカス出身のヘクター・コルデロさんは、持参してきた紙幣をもとに、お土産物を作成。コロンビアの街頭で売っているという。
例えば、ハンドバッグはベネズエラ紙幣1200枚。小銭入れは70枚で、お財布は100枚の紙幣で作れるのだそう。
こう聞くと、「原材料高すぎない!?」と思う方も多いだろうが、ハンドバッグはわずか1250円(12ドル)。それでも利益が出るほどに紙幣の価値が下落しているのだ。
コルデロさんによると、主な購入者は北米からの観光客。かつて南米で最も強力な経済をもっていたベネズエラに憧れを持って買っていったのだそう。
彼が製品の作り方を学んだのは、ベネズエラ人の仲間がアップロードしたYoutubeの動画。折り方を研究し、「折り紙ベネズエラ」という名前で他の人にも広めているのだそう。
現在、コロンビアの仮設住宅で暮らしているというコルデロさん。いつか家族とともにベネズエラへ戻ることを夢見ているのだという。
カタールのメディア「アルジャジーラ」のインタビューでは、「ベネズエラの状況が変わることを願っている。帰りたい。住むことにおいて、自分の故郷に勝る国はない。政府は全てを崩壊させた。ベネズエラに戻れるように、問題が解決するのを願っている。」と語っていた。
様々な方法で生き残りをかけているベネズエラの人々。一見おかしな商品だが、その裏には、ベネズエラ国民の苦悶が隠れていた。