82年ぶりに本が返却される!!
図書館を利用する人たちの中には、延滞料金を払うのが嫌で、借りた本を借りっぱなしにするという人も。迷惑極まりない話だが、なんと先日、80年以上の時を超えて本が返却されたという。
しかもその日は、延滞料金のシステムが廃止されることが伝えられたすぐ後だったという。
この出来事が起きたのは、カナダ・ノバスコシア州シドニーにあるケープブルトン地域図書館。返却された「ドクター・ドリトルの冒険」は、驚くべきことに82年前の1939年に貸し出されたものだった。
発見したのは、地元在住のエンターテイナーであるジョーダン・ムシシンさん。彼は100年前に建てられたという家を購入し、その日は改装作業を行なっていたという。
お風呂場に扇風機を設置するために屋根に穴を開けようと、屋根裏部屋に入ったそうだが・・・、そこに大量の古い本が置いてあったという。
「中には1939年の古い図書カードも入っていました。たまたま図書館が罰金を廃止した時と同じ週だったので、面白いタイミングだと感じましてね。
82年分の罰金がいくらかどうかは知りたくなかったのでちょうど良かったです。期限切れの本にはなるでしょうが。」とムシシンさんは語る。
この家に住んでいた小さな女の子は、どうやら世界恐慌の終わり頃に図書館から借りていたらしい。延滞してパパやママに怒られるのが嫌だったのか、そのまま隠していたのだろうか?
突然の歴史資料の発掘にスタッフ大興奮!
その後、ムシシンさんはケープブルトン地域図書館内にあるマコンネル記念図書館に返却。するとスタッフは驚愕し、貴重な本との突然の出会いに非常に喜んでいたそう。
図書館のスタッフのニコール・マクギボンさんは「82年以上滞納された本は見たことはない」と語っており、「延滞料が1日につき15円(15セント)と考えると、延滞料金は約25万円(3000カナダドル)相当になりますね。」と喜びを語っていた。だが、ムシシンさんにはもちろん支払い義務は発生しなかった。
今から59年前の1953年に図書館は火災で全焼してしまい、ほとんどの本が焼け落ちてしまったという。そのため、それより前の本が現存していることは何よりも素晴らしいことだという。
返却された本は地元の歴史資料として保管されることが決まり、現在、スタッフは貸出者の少女や親類を探そうと奔走しているとのこと。
80年以上も延滞すれば、もはや歴史の一部。もし自分のおばあちゃんにこんな過去があったとすれば、貸出者の家族の間では笑い話になるかもしれない。