和食の問題点をスマートに解決?
「和食」は、2013年にはユネスコの無形文化遺産に登録されており、近年の世界的な健康意識の高まりもあって広く海外でも人気である。
健康効果や見た目の美しさ等々その魅力は沢山があるが、その最大の難点としてしばし言われるのは、”塩分摂取量が多くなる傾向がある”こと。
平均的な日本人の成人は、1日あたり成人男性は10.9g(令和元年の調査)の塩を消費する。これはWHOが推奨する量の2倍にもなる。
ご存じのとおり塩分の過剰摂取は、高血圧、脳卒中、その他の病気の発生率の増加に関連していると言われており、日本ではここ何十年間も官民挙げて日常の塩分摂取量を減らす努力が続けられている。
今回、その画期的な対策となる新たな「ガジェット」が開発され、これが世界的に話題となっているようだ。
このガジェットはなんと、「スマートおはし」!
キリンホールディングスと明治大学理工学部の宮下芳明教授が共同で開発、4月15日にその実演の様子が世界に配信された。
手首に装着した小型コンピュータが電気の力を使い、食べ物の中のナトリウムイオンを浮かせておはしに引き付ける。その結果、塩味が実際の含有量より1,5倍の濃さに感じられる、と動画の中で宮下教授は述べている。
ちなみに、同教授の研究室ではテクノロジーを使って感覚を刺激する方法を研究していて、以前当サイトでも、ディスプレイ越しに「味を送る」ことができる”味わうテレビ”をご紹介している。
ラーメンを我慢しなくても?
さらに、キリンホールディングスの研究者である佐藤 愛氏は、
従来の方法で塩分摂取量を下げようとすると、好きな食べ物を避けたり、味気ない食事を我慢する必要が出てきます。このお箸を使えばそういった事をしなくてよくなる可能性があります。
と述べている。
ラーメンや味の濃いものが大好きなのに、血圧対策のためにそれら控えている成人の方は多いだろう。
このガジェット、一般への普及を切に願いたいものだ。電気で舌がビリビリしないか少し心配だけれども。
なお、この商品は早ければ来年にも商品化を予定しているとのこと。今後に期待したい。