古くから理髪店は街の社交場としての役割も担い、そこで人々はくつろいで四方山話に花を咲かせたりするものだ。しかし、この国ではそんな場所にも”銃”が絡んできてしまう。
アメリカ・ミズーリ州にある理髪店で、ヘアカットを無料にすることを要求した顧客がそれを断られ激昂、顧客は店主を背後から銃で撃ったという。
この事件は複数のメディアで取り上げられた。以下は事件の被害者である店主へのインタビュー映像である。早速ご覧頂きたい。
店主が語る事件のあらまし
アメリカ合衆国ミズーリ州西部に位置する都市カンザスシティ。ドレイクス・マーフ氏は自身の名を冠した”ドレイクス・バーバーショップ”のオーナーである。
先週の木曜日、ある顧客がこの店に散髪にきて割引ヘアカットを要求したという。店の理髪師の一人はそれを快諾し、手早く散髪をした。しかし、散髪後その顧客は文句を言った。
その理髪師は本当にいい仕事をしたんだよ。でもその客は、散髪代を”ただ”にしてくれと言いだしたんだ。
とマーフ氏は説明する。
もちろん理髪師はそれを拒否。その日は何事もなく終わったかに思えたが・・。
次の日、その客は床屋へ戻って来て、理髪師を出せ!と要求した。店にいたマーフ氏が”理髪師はいない”と告げると客は激昂、銃を抜いたという。
「私はとっさに走り出して店から出た。」とマーフは語る。「でも、背中を撃たれたんだ。」
彼は撃たれてもなお走り続けたが、柵を飛び越えようとして転んだ。そこへ客は銃を持って立ちふさがった。
「ひどい状況だった。私は神に祈った。でも引き金を引くカチッという音が聞こえた。」
しかし、幸いにも見知らぬ人が助けに来てくれ、この客から銃を取り上げようと奮闘、マーフ氏も加勢して客を殴りつけたという。
さらに店の理髪師達も追って来てくれた。複数人で客を取り囲み、同店の理髪師の一人が最終的に銃を犯人から取り上げることが出来たそうだ。
マーフ氏は病院に運ばれた。幸いにも弾丸は背骨をそれ、脇腹を貫通しており命には別条はなかった。
警察は犯人を33歳のヴァーニー・ディケンズと特定。彼は逮捕されジャクソン郡拘置所に収監されたという。
店主は銃による暴力の蔓延を止めたいと立ち上がる
カンザスシティでは、”家族のためのチャリティー・トイドライブ”や”子供のための無料ヘアカットデー”など、理髪店が主催するイベントがいくつもあるそうだ。
アメリカでは地域にもよるが、日本よりもさらに理髪店のコミュニティとしての側面が高いと言われている。
その場所でこのような事件が起きてしまったことは、店主であるマーフ氏自身、深く憂慮しているという。
彼は退院早々、銃による暴力の蔓延防止と予防のための非営利団体を立ち上げることを決意、クラウドファンディングで寄付を募り始めた。
その寄付サイトにはこう書かれている。”暴力を沈黙させて、悲劇を勝利に変えたい”
こういった小さな草の根活動から、暴力の連鎖が止まることを願いたい。