意外過ぎる乗客はなんと”野生のシカ”だった。
アメリカ・オクラホマ州南西部コマンチ郡ロートン。運行中の市営バスへ、フロントガラスをぶち破って野生のシカが車内に乱入してくる事件が発生した。
車内の監視カメラ映像は、このシカが乗降ドアから何事もなかったように車外へと去ってゆく様子までを捉えていた。
この映像はTVニュース等で取り上げられ話題となるとともに、事態に遭遇した女性運転主の冷静な対応に賞賛の声が広がっている。
その驚きの映像、ご覧ください。
道路脇から野生のシカが!
6月のとある日の早朝。勤務開始から10ヶ月が経過したばかりの市営バス運転主のアリシャ・サットンさんは、早朝定期運航バスを走らせていた。
早朝という事もあり、まだ車内に乗客はいない。
すると、突然道路脇から、”野生のシカ”が路上へ飛び出して来る。
そして、なんとシカはフロントガラスを突き破り、バスの車内へ飛び込んできた!!
”私はまずバスの速度を落とさなければならないと思いました。”
とサットンさんは語る。
”なんとかバスを側道に止めました。そして、私はシカをバスから降ろしてあげたかったのでドアを開けた。シカが後続車にぶつかって怪我をするのではないかと心配したけれど、大丈夫でした。”
監視カメラ映像では、車内のシカはすぐに立ち上がり、サットンさんがバスのドアを開けると、シカは何事もなかったかのように外へ出て行った。幸いなことに乗客は誰もおらず、誰も怪我をすることはなかった。
運転主の冷静な態度に賞賛
サットンさんは、シカが降車して数秒後、バス管理センターへ冷静に状況を報告したという。
ロートン地域交通システム(LATS)の総支配人、ライアン・ランダース氏はサットンさんの行動を賞賛した。
「彼女は冷静で、落ち着いていて、パニックにならず、バスの安全面において実に正しい行動をとっていた。
乗客(この場合”シカ”)を安全に降車させるという、顧客サービスの面でもバッチリだ。」
と述べた。確かに、映像中のサットンさんの様子は大変落ち着いていてベテランの風情だ。バス運転手歴10ヶ月とは思えない。
彼女は、TVのインタビューに答え、
”私は市営バスの運転手になる前、トラックやスクールバスの運転手、安全コーディネーター、運転手のトレーナーなど、さまざまな訓練や安全に関する経験を積んできました。バスを減速させ、安定させ、減速し、できるだけ安全にバスを停車させることを常に心掛けています。”
とその経歴と心構えを語っている。彼女はやはり、この道20年のベテラン運転手だったのである。
普通の人間であったらパニックに陥り、誤操作をしかねない状況。こういった想定外の対処では、やはり豊富な経験が物を言うようだ。
バス運営会社にとっても、ガラスの修理代は高くついたかもしれないが、安全運航をPRできるいい宣伝になったことだろう。
取りも直さず、女性運転手サットンさんの仕事に対する真摯な心構えは見習いたいものですね。