アメリカンドッグの一体何が“アメリカン”なのか?『アメリカンドッグの日』に知りたい、その由来と歴史

グルメ

アメリカンドッグのアメリカンって何?

本日10月9日は#アメリカンドッグの日、である。アメリカンドッグやチキンナゲットなどの商品を製造・販売する富山県富山市にあるフルタフーズ株式会社が制定した記念日で、「アメリカンドッグ」の「ドッ(10)グ(9)」と読む語呂合わせから制定されている。

「アメリカンドッグ」はご存じのとおり、串刺ししたソーセージに小麦粉またはホットケーキのような生地をつけて油で揚げたもの。ケチャップやマスタードをつけて食べるのが一般的であり、ちょっとB級の香りただよう心やすいスナックである。日本では、コンビニや屋台、学園祭の模擬店、高速道路のサービスエリア、プール、遊園地の売店などでよく販売されている。

このスナック、子供の頃から馴染みの深い方も多いと思う。筆者も小学生だった時、市営プールにあるスナックコーナーでこれを食べるのを楽しみにしており、生まれて初めて黄色い”からし”をつけて「アメリカンドッグ」を食べた思い出は鮮烈に記憶に刻まれている。

さて、この馴染み深い「アメリカンドッグ」だが、その名称について、一体これのどこが「アメリカン」なのか?と筆者は以前から疑問に思っていた。「ナポリタン」「天津飯」「ウィンナーコーヒー」「台湾ラーメン」的な、地名が付いているものの現地には存在しない日本的魔改造の産物ではないかと疑っていた訳である。

この記念日をきっかけに「アメリカンドッグ」の由来と歴史について調べてみたので、ご興味のある方は是非駄文にお付き合いいただきたい。

日本以外の国では『〇〇〇ドッグ』

結論から述べると、「アメリカンドッグ」の名称は日本独自のものであり和製英語である。
日本以外のほとんどの国では「コーンドッグ」と呼ばれ、アメリカでは広く普及しているコーンミール(とうもろこし粉)を生地に使ったものがその発祥であり、アメリカで1930~40年にかけて発明、普及に至った食品だそうだ。

これが日本に導入される際、当時コーンミールの入手が困難だったため小麦粉、またはホットケーキミックス粉を代用として生地に使用したものが、“アメリカで人気のコーンドッグ” ⇒「アメリカンドッグ」の名で普及したようだ。(諸説あり)

生地の素材に少し改変が施されているものの、ソーセージを木串で刺し生地を付けて揚げ、ケチャップとマスタードを付けて食べる、という基本的構造はまったく同じ。

※ちなみに、”ドッグ”部分の呼称については、『ホットドッグ』と同じくソーセージを犬のダックスフントに見立てた事(これも諸説あり)から来ているようだ。※

アメリカンドッグ=コーンドックの起源と歴史

しかし、このコーンドッグという食品、アメリカでは『世界で初めてウチがコーンドッグを作った!販売した!』と主張する地域や企業が数多くあり、その発祥を巡ってかなりの混戦が繰り広げられているようなのだ。

下記の動画ではその内でいくつかの有力な説が紹介されている。

1941年 オレゴン州「Pronto Pups」説

発祥として有力視されている店の一つは、オレゴン州ポートランドのレストラン「Pronto Pups」。彼らは元々、地元のロックアウェイビーチでホットドッグを販売していたが、雨でパンが台無しになってしまったことがあり、注文毎にパンを揚げて提供する方法を思いついたという。
「Pronto Pups」で作られているコーンドックは棒にソーセージを突き刺し、とうもろこし粉の生地に浸して揚げたもの。彼らはこれを1941年の”ミネソタ州フェア”でお披露目するや人気になり全国へ広まった。

このレストランは今も健在。店舗もこの通りで発祥PRはバッチリ。

店頭にはコインを入れて乗って遊ぶ遊具が置かれている。懐かしすぎる。

1942年 テキサス州「Fletcher’s Corny Dogs」説

発祥を主張する店のもう一つはテキサス州「Fletcher’s Corny Dogs」。カールとニール・フレッチャーの兄弟が1942年の”テキサス州フェア”にて『corny dogs』の名で販売した。とうもろこし粉の生地を付けて揚げたソーセージは1つ15セントで売り出され、フェアの来場者に大ヒットしたと伝えられている。フレッチャー兄弟がこの料理を作ったのは当時地元でソーセージがあまり好まれてなかったため、とうもろこし粉で包んで揚げたのでは?という説もあるようだが詳細は不明。このお店も長年家族経営で運営されていて今も健在。

お店のFacebookに掲げられている「State Fair of Texas in 1942」当時の写真。

その他諸説と普及への経緯

上記2店は現在も盛況で発祥の店として有力視されているようだが、他にも説は多数ある。

初めの動画で解説があったように、1937年アイオワ州の野球場にあったホットドッグの屋台でバンズが切れてしまい、フィッシュフライ用のコーンミールに浸して挙げてみたところ評判になったという説もあれば、イリノイ州スプリングフィールドにある「Cosy Dog Drive In」という店が1946年に開かれた「イリノイ州フェア」で販売し人気を得たのが発祥とする説もある。

ちなみにこの「Cosy Dog Drive In」も健在。

発祥について様々な説はあれども、1940年代に行われた各州のフェア(物産展)にてコーンドックがアメリカ各地の人々の目に触れ広がっていったというのがその普及の経緯のようだ。

とってもアメリカンな食べ物だった

発祥を訴えるどの店も未だ健在という事は、「コーンドック」がいかに広く普及し愛されていることの証明と言えるだろう。また、歴史が浅いがゆえに、刻んだ歴史を大切に保管するアメリカの魂をここに見ることが出来るかもしれない。
「アメリカンドッグ=コーンドック」は名の通り、非常にアメリカンな食べ物であった。

ちなみに、ハワイで本場に近い”コーンドッグ”を食べたことのある友人に聞いたところ、生地がとうもろこし粉なので日本のものと比べてサクサクで軽い感じ、とのことだ。
これが遠く極東日本に渡り人々に慕われ、また違う経緯で韓国にも渡り改造を施され「ハッドグ」として人気を博しているという。
さらに日本国内でも亜種があり、北海道の道東地域では「フレンチドッグ」と呼ばれ調味料として砂糖をまぶして食されているらしい・・・。

80年の歴史を経て、アメリカ全土のみならず広く世界に広まったこのスナック。美味しくて気軽なスナックには国境はないということが良く分かった。この記事を最後まで読んでしまいアメリカンドッグを食べたくなった方はコンビニに走られるか、もしくは自宅でアメリカンドッグを作れる機械がAmazonで販売されているので購入を検討されては如何だろうか。

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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