ドイツで自動車整備工としてフルタイムで働く男性の副業は、アフリカ・ガーナの“王様”!?

カルチャー

ドイツ・ラインラント=プファルツ州ルートヴィヒスハーフェンで自動車整備工場を営むこの男性は一見、どこにでもいる普通の市民のように見えるが、実はとんでもない副業を持っている。

この男性は、西アフリカ・トーゴとガーナ東部の国境に地域に居住する有力部族”エウェ族”の王家に生まれたセファス・バンサー。

彼の祖父は約200万人以上いるガーナとトーゴに渡って居住するエウェ族の長、つまり王様であった。しかし彼には父も兄もおり自分が王になる可能性はなかった。そのため彼は22歳の時(1970年)ドイツに留学し、そのまま同国で自動車機械工として仕事を持ち家庭を築き、同国の市民権を得て平穏に暮らしていたという。

しかし1987年に彼の人生を永遠に変えることになる1枚のファックスを受け取ることになった。

「あなたの祖父はお亡くなりになりました。そして、次の王様はあなたに決定した。」

それ依頼、彼はエウェ族の『王様』を務めることとなったのである。

彼の父と長兄は左利きであったため、エウェ族の風習から王としてはふさわしくないと見なされ、彼にお鉢が回ってきたのだった。彼の正式な尊称は「トグベ・ンゴリフィア・セファス・コシ・バンサー王」といい、『エウェ族の優れた精神的な首長』と見なされる事となった。

さらに驚くべきことに、彼は即位後もドイツで働き続ける道を選んだ。だが、同時に王としての役割も捨てはしなかった。

なんと彼は普段はフルタイムの自動車機械工として働き、王としてはドイツからリモートでSkypeを使ってエウェ族の部下たちに指示を与えている。そして、今でも最大年8回はガーナを訪れるという。

この斬新な『二刀流』を駆使して、彼は200万人を超える”エウェ族”の王として君臨している。
王としての彼の実績としては、学校の建設を含む多くの援助プロジェクトや女性の刑務所を建設するための資金援助などが挙げられる。こうしした援助活動の資金としては彼の本業である自動車整備工場での稼ぎも一部充てられる。

彼の居住するラインラント=プファルツ州はドイツでは酒どころとしても知られており、近年は酒造業にも乗り出し、ビールやワインの製造も始めた。そして、昨年の1月には州の代表団から”金色のワイン生産者”の称号を授与されている。州の知事からは「ガーナとラインラント・プファルツ州との協力関係の象徴」としてパールワイン製造のためのブドウ樹を贈られたりもしている。

こうなると二刀流どころか三刀流である。とても休む暇などなさそうだ。

ガーナは政情が安定し、自由選挙により平和的に政権が移譲されるようになったことから、現在は西アフリカにおける数少ない議会制民主主義国として知られる。しかし、今もセファス・バンサー王のような伝統的な王は、部族の世話人としてコミュニティ内で重要な役割を果たしているという。

「位高ければ徳高きを要す」という言葉があるように、古来より地位の高い人はそれに相応しい徳の高さや自己犠牲の精神を持たなければいけないとされる。それを体現するかのような、バンサー王の働きっぷりには感銘を受けた。

こんな働き者の王様になら、喜んで臣下としてついてゆきたい!

参照元:DailyMailtheafricancourier.detwitter(1)twitter(2)

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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