世界最高峰の今
世界最高峰の山、エベレスト(またはチョモランマ)。ここで働くトレッキングガイドが先月下旬にInstagramに投稿した映像が話題である。
その内容はエベレスト山頂付近のベースキャンプ付近の様子を写したものだ。こんなキャプションと共に投稿されている。
“今まで見た中で最も汚いキャンプだ。テント、空の酸素ボトル、スチールボウル、スプーン、衛生パッド、紙がたくさん捨てられている。”
この映像の投稿主は、テンジ・シェルパ(@tenzi_sherpa1999)さん24歳。2019年からエベレストでトレッキングガイドを務めている。撮影されたのは、エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイによる記念すべきエベレスト初登頂(1953年5月29日)から、ちょうど70周年を迎える日の数日前だという。
ゴミを残すクライマーは登頂すべきではない
“ネパール政府はエベレストにゴミを残すクライマーに対して厳しいルールを作り、より効果的な清掃キャンペーン企画を行うべきだ”
とテンジ氏はニューズウィーク誌の取材に答えて語っている。
ゴミを山へ置き去りにする登山家は、エベレストだけでなく他のすべての山への登山を生涯禁止にすべきだ
とも。
テンジ氏は数多くの遠征隊との仕事の中でゴミが散乱する光景を何度も目撃していて、毎回とても悲しい気持ちになると嘆いている。さらに、政府に向けてゴミを山に放置する登山家を支援した企業を罰するよう要請したとも述べている。
この動画はネパールの隣国、インドのタミル・ナードゥ州政府における環境・気候変動・森林局追加首席秘書官であるスプリヤ・サフ氏がシェアしたツイートでも拡散され、国際的な話題となった。彼女は、
“エベレストにおいてさえも、人間がゴミやプラスチックの投棄を惜しまないなんて、本当に胸が張り裂けそうです”
と投稿に書き多くの賛同を得ている。日本においては、登山家の野口健氏が富士山やエベレストなどで不法投棄されたごみの清掃活動を継続的に行っていることは有名である。それでもなお、このような現状を目の当たりにすると衝撃が走る。
なお当サイトedamame.でも2018年5月に、「登山家の撮ったこの写真が大きな物議」という記事でエベレスト山頂の写真を掲載させて頂いているが、記事の内容よりも先に山頂に散乱するゴミに目を奪われる、という声が多く寄せられている。
今回のテンジ氏の訴えを機に、地元ネパール政府が何らかの措置を取ることを願いたいものだ。