美術館の展示作品を壊した観光客
今春、イタリアのヴェローナにあるパラッツォ・マフェイ美術館で、展示作品が壊されるという出来事が起きた。その観光客は今なお特定されておらず、最近になって同美術館が当時の様子を捉えた監視カメラの映像を公開すると、またたく間に拡散されることとなった。
壊されたのは、イタリア人アーティスト、ニコラ・ボッラ氏が制作したスワロフスキー製の「ファン・ゴッホの椅子」と呼ばれる作品で、美術館を訪れた男女はまず女性のほうがこの椅子に座るふりをして撮影をした。次に、男性も同じようにこのクリスタルで覆われた椅子に座るふりをしようとするも、バランスを崩したのか実際に体重をかけて座ってしまったのである。
当然ながら座る仕様になっていないこの椅子は、男性の体重を支えることができなかった。そして、椅子の脚が折れてしまったにもかかわらず、二人は美術館に報告することも謝罪することもなく、その場を立ち去ったのだ。
美術館は二人による謝罪を求む
美術館関係者はこの一件を事故と考えているが、二人が逃げるという行動をとったことに対して立腹し警察に連絡したと述べた。そして、今回映像を公開したことで、二人が名乗り出て、不注意により破損してしまったことを謝罪することを望んでいると話している。
このクリスタル製の椅子は、2020年に開館した美術館の中でピカソ、マグリット、モディリアーニといった芸術家の作品と並んで展示されているという。同美術館は、この作品がどれほどの価値があるかは明言はしなかったが、破損のために価値が下がってしまったとのことだ。また、この椅子の修復には数週間を要し、その費用は美術館が負担していることについても触れられている。
そして、今後の展示については、作品はプレキシガラスで保護されるということだ。