30ドルで買った絵が135万ドルに!75年間消えていた“幻の作品”だった
米ミシガン州の遺品セールで、ひとりの収集家が暗い廊下の片隅に置かれた古い絵を見つけた。値段はわずか30ドル。額縁には傷もあり、描かれているのは黒っぽい背景に並ぶ貝殻である。
ところが数カ月後、その30ドルの絵はニューヨークのオークションに登場し、なんと135万2600ドルで落札された。単純計算で購入価格のおよそ4万5000倍。どうやら、とんでもない“掘り出し物”を掘り当ててしまったようなのだ。
決め手は「Abercrombie」という署名
絵を購入したのは、レコードやミッドセンチュリー家具を長年集めてきたコレクターだった。作品の隅に「Abercrombie」という署名があることに気づき、30ドルならと購入したという。
ガートルード・アバクロンビー(1909~1977)は、シカゴを拠点に活動したシュルレアリスムの画家である。静かな室内、月、猫、フクロウ、貝殻などを描いた少し不思議な作品で知られてきた。
美術館の図録を開いたら、自分の絵が載っていた
購入者はその後、ミルウォーキー美術館で開催されていたアバクロンビーの回顧展を訪れた。そこで図録を見ていると、1952年の新聞写真に見覚えのある絵が写っていることに気づいたのである。しかも額縁まで同じだった。
専門家スーザン・ワイニンガー博士による鑑定を経て、本物と確認された作品は1951年制作の「Alderman Merriam’s Shells」。約75年間、公の場から姿を消していた作品だった。
医療費の代わりに渡された絵だった
作品には9個の貝殻が描かれ、そのうち一つは糸で吊られ、黒い壁の前に浮いているように見える。モデルとなった貝殻は、アバクロンビーが暮らしていたシカゴ・ハイドパーク地区の市会議員ロバート・メリアムが所有していたものだった。
さらに面白いのは、その後の来歴である。アバクロンビーはこの作品を、ミシガン州カラマズーの医師ジョン・レイノルズに医療サービスの対価として渡したという。作品はその一家に残り続け、2026年夏の遺品セールでようやく外の世界へ戻ってきた。
15万~25万ドル予想が、135万ドルへ
10月1日にFreeman’sがニューヨークで開いた競売では、落札予想価格は15万~25万ドルだった。ところが8万ドルから始まった競りには電話5人とオンラインの入札者が参加し、価格はみるみる上昇。最終的に買い手手数料込み135万2600ドルで決着した。
これはアバクロンビー作品として世界最高のオークション記録であり、100万ドルを超えた初めての作品にもなった。
暗い廊下の片隅で30ドル。それが数カ月後には135万ドル。遺品セールで古い絵を見かけたら、とりあえず隅っこの署名くらいは確認しておいた方がよさそうである。
参照元:
Freeman’s公式発表、Youtube








