今、海外で日本の古武道が紹介され、にわかに話題になっている。
紹介したのはエリック・シャハンという方。19世紀から20世紀にかけての、日本の武道に関する書物の翻訳のスペシャリストである。そんな彼が最近翻訳した「婦人護身術」の中で古武道が扱われていたのである。
海外で話題となった理由は、この書物が、女性のための武道書であり、かつ100年以上も前に書かれていたためである。
KYUSHO-急所-
またこの本に登場する急所という概念も興味を引いたようだ。
急所とは、大きな衝撃を与えるとダメージを追いやすい部分のこと。日本人なら一度は聞いたことがあるだろう。
こちらは急所を図示したもの。村雨とか月影とかカッコいい名前のものが多い。
では実際の中身はどんなものなのか?実際の資料を見ていこう。
相手を倒す技
送鎌
こちらは「送鎌(おくりがま)」という技。相手に胸の辺りをつかまれ、倒されそうになったときの対処方である。まず右手で相手の胸の辺りをつかみ、左手で相手の右袖をつかむ。そして両手で相手をひきつけながら、右足で図のように蹴ると相手は倒れる、というものらしい。
なるほど、本の題名のとおり、力の弱い女性でも人を倒す方法を紹介しているようだ。
大腰
こちらは「大腰(おおごし)」という技。相手が横から手をかけてきた時の対処法である。相手の胸元をつかみ、自分の腰で相手の下腹部を押し上げると同時に、胸元を引っ張るという技である。柔道でも同様の技があるため、知っている人もいるのではないだろうか。図ではかなりの角度で「敵」が投げられている。足がピンとなっていて少し面白い。
倒しても相手が抵抗する時に使う技
膝挫
こちらは「膝挫(ひざくじき)」という技。いわゆる十字固め。両膝を使って相手の腕を挟み、逆側に曲げるという技。この本では「締め付け折るべし」と書かれていた…怖い…
馬乗固
こちらは「馬乗固(うまのりがため)」という技。自分の胸で全力で相手の胸を押して絶息させるという技。また物騒な文言が…しかも図を見るとどっちが敵なのかわからない感じになっている。
自分が倒されてしまった時に使う技
腹攻
こちらは「腹攻(はらせめ)」という技。相手の胸元をつかんで両足で相手を締め上げる技。かなり足の筋肉がないと難しそうだが…何かいちゃいちゃしてるようにも見えるのは筆者だけだろうか…?
足がらみ
こちらは「足がらみ」という技。相手の胸元をつかんで、足に力を入れて相手を宙に跳ね上げれば、相手は後ろに投げ飛ばされる。
投げ飛ばした図がこちら。どこか楽しそうである。
色々な状況に応じて技を使い分ける必要があるようで、実際に練習しないといざというときに使うのは難しそうだ。
これに対する海外での反応を見てみると、
全ての女性がこれを訓練すべきだね。
日本の歴史での興味深い点だね。
といった声や、
格闘に慣れていなければ難しいんじゃないかな。
自分よりずっと体格が大きい人にも使えるのだろうか。
といった意見が見られた。
まあ確かに、昔の日本にはそこまで大きな人がいなかったのでこういった技が有効だったのだろう。
筆者としては内容よりも挿絵のほうが気になってしまった。日本の昔の絵はシュールで少し面白い。
とはいっても、この物騒なご時世、身を守る手段として何かを身につけて置くほうがよいのかもしれない。
参照元:Daily Mail
許諾元:国立国会図書館