ブラックジャックによろ…
皆さんは「ブラックジャックによろしく」という漫画を知っているだろうか?佐藤秀峰氏が描いた、日本の大学病院や医療現場を舞台とした漫画。2002年には文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した。
そんな「ブラックジャックによろしく」だが、先日その名前が変更されるという事態が起きた。その変更後の名前はなんと…「ブラックジャックによろちんこ!?」
なんでこんなことになったの!?
一連の流れ
作者はAmazonのキンドル・ダイレクト・パブリッシング(Kindle Direct Publishing)というシステムを利用して、「ブラックジャックによろしく」を電子書籍として自主的に出版し、販売していた。しかし、あるときにその値段が0円になっていたのである!
KDPで有料販売していた「ブラックジャックによろしく」が、アマゾンの独断により全巻0円で配信される事態に…。
もちろん事前通告無し。https://t.co/VnaDvGv2EW— 佐藤秀峰 (@shuho_sato) 2017年7月26日
こちらが作者のツイート。
なぜ0円に??
作者の佐藤秀峰氏は、本人のホームページ上で漫画を公開しており、無料で閲覧することができるうえに、規約を満たせば2次利用も可能である。そのため、他のネットストアでは0円で販売されていた。しかし、Amazon のKindleストアに限っては作者本人がKindle用に高画質版を作成し、有料で公開していた。
それがあるとき急に、しかも作者の許可なしで無料配信されてたのである!ホームページの利用規約には「Amazon Kindleストアでの取扱いは、個別の許諾がない限り一切できないものとします」と明記してあるのに…そりゃびっくりするよ…
どうやらキンドル・ダイレクト・パブリッシングでは、取り扱う書籍の値段に関して、”価格の整合”が行われるようだ。
“価格の整合” または “プライスマッチ” とは、ある電子書籍の電子版または印刷版が他の販売チャネルで販売されている場合にその販売価格と整合させるため、またはいずれかの販売可能地域で Amazon が電子書籍の印刷版に設定している販売価格と整合させるために、Amazon が 1 つ以上の販売可能地域において希望小売価格よりも安い価格 (税抜き) で電子書籍を販売することを意味します。(「Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング: Amazon の Kindle ストアでの電子出版に関するヘルプ」より引用)
つまり、他のネットストアでKindleよりも安い価格で同じ電子書籍が販売されていれば、Kindleストアでも、作者に無許可でその価格と同じ価格で販売される可能性があるということである。
しかし、今回の場合は作者はKindleストアでの扱いは禁止しており、しかも他のストアの電子書籍も作者本人がアップロードしたものではない。
で、KDPで販売をしていましたが、他ストアで配信している場合は一番安いところに独断で価格調整(=プライスマッチ)するんですって。
https://t.co/Ntqqr1p0ch
他ストアで無料配信されてるのは僕が配信してるものじゃないし、タイトルもデータも違うんだけど。 https://t.co/XBQRz0yrZs— 佐藤秀峰 (@shuho_sato) 2017年7月28日
この事態を受けてAmazonに抗議したものの、聞き入れてもらえなかった。そこで作者は……タイトルを「ブラックジャックによろちんこ」に変更した!!
タイトルを変えました。
「ブラックジャックによろちんこ 第1巻 [電子書籍版] 」佐藤秀峰
https://t.co/4sH1nz4QxP— 佐藤秀峰 (@shuho_sato) 2017年7月28日
実際のAmazonのページがこちら。さすがのAmazonもこれに対応しないわけにはいかず、一時的に販売を停止する措置をとった。2017年7月31日現在も販売停止の状態である。
出版物の作者の許可なしで無料配布するのはいかがなものか…作品に費やした時間や労力に対して、当然対価が支払われるべきである。今回のAmazonの対応は許されるものではないだろう。
ただ、作者の佐藤秀峰氏の抗議のやり方もかなりおもしろい。今回の一連のできごとで新しい抗議のスタイルを学んだ筆者である。
参照元:Wikipedia、Twitter、マンガonウェブ、Amazon kindle direct publishing、Amazon