白人至上主義者の7割が、純粋な白人ではない!?
先日8月12日、アメリカ南部バージニア州・シャーロッツビルにおいて、白人至上主義団体と反対派が衝突する事件があったことは記憶に新しい。
これを皮切りに、アメリカの人種や民族の違いが生む軋轢が浮き彫りになりつつある。
そんな中、白人至上主義の人々の間では近頃、自らのアイデンティティを証明するためにDNA検査が流行している。自分の「白人性」を確認するためだ。
しかし、米科学ニュースサイトで、完全に白人であることが証明されたのはなんと3割であることが報じられ、白人至上主義者に対しての不信感がさらに高まっている。
今回取り上げるのは2013年のニュースだが、内容は同じく「白人至上主義団体の代表男性に黒人の血が混ざっていた」というものであり、改めて注目を浴びている。
ネオナチ団体の代表、14%がアフリカ系黒人であることが判明し愕然
このDNA検査の企画を立てたのは、2013年11月に放送された、ザ・トリシャ・ゴッドダードショーという番組である。
ゲストとして呼ばれたのは、クレイグ・コブ氏。当時62歳。彼はノースダコタ州でネオナチを掲げ、村に住む黒人男性やイラン人の男性に嫌がらせをするなど、様々な問題行動を起こしていた。番組は、そんな彼の遺伝子的祖先を調べようとしたようだ。
女性司会者が彼のDNA検査の結果を読み上げ始める。
司会者「クレイグ・ポール・コブさん、DNA検査の結果あなたの遺伝的祖先は、86%がヨーロッパ系白人。そして・・・・14%がサハラ以南のアフリカ系黒人です。」
その瞬間、隣のコメンテーターの女性が笑い出す。スタジオが大きな歓声をあげると、クレイグ氏は苦笑いを浮かべた。しかしかなりの戸惑いをみせており、信じられない様子である。
自分が盾にしていたものを覆された今、彼は必死になって反論する。
クレイグ氏「これはいわゆる統計のウソというものだ!」
司会者「でもあなた少しだけ黒人じゃないの!」
クレイグ氏「聞きなさい、水と油は混ざらないんだぞ?」
司会者「そんなことないわよ、ヘイ、兄弟!」(拳をごつん)
ユーモアいっぱいに女性司会者が締めくくり、スタジオには拍手が巻き起こった。
しかし彼は認めている様子はなく、その後、「ポッドブランク」という右翼向けサイトで100%白人であると証明する記事を載せている。事実かどうかは定かではないが、文章には怒りがにじんでおり、彼がどれほどショックを受けているか読み取れる。
この記事を読んで、なぜ今になって差別が増えだしたのか?と疑問に思う人もいるだろう。それには、現在のアメリカの経済格差問題が背景にあると考えられる。
増加を続けている差別主義者たちの大半は貧困層の白人だと言われており、「仕事が他の人種に奪われる。アメリカは白人のための国なのに!」と思い込んでいる者も多いという。貧困の怒りを他の人種にぶつけるしかない状況なのだろうか。
例え白人至上主義者が純粋な白人じゃなくても、彼らは差別をやめようとはしないだろう。彼らの怒りの矛先として、たまたま人種が選ばれただけなのかもしれないからだ。
8月31日 記事の一部表記を修正しました。