体から腐った魚の臭いがする『魚臭症』
世界には様々な奇病が存在する。珍しい病気ほど人に理解され難く、これだけ技術が進んでいる現代の医療でさえ、病気の正体に気付けないこともある。
みなさんは、『魚臭症(ぎょしゅうしょう)』という病名を耳にしたことはあるだろうか。(正式名称:『トリメチルアミン尿症』)
魚臭症とは文字通り、身体から腐った魚の臭いがする病気。先天的にも後天的にも発症することがあるが、とても珍しい病気で、世界に約700人しか患者がいないと言われている。
健康面では一切、問題のない魚臭症。しかし、患者の抱える悩みは、一般的な病気以上のものともいえるかもしれない。
というのも、この病気のやっかいなところは、無意識のうちに人が嫌がる激臭を放ってしまうことだ。どれだけ念入りに身体を洗っても、清潔に保とうと心がけても、臭いを根絶することができない。
患者本人は、自らの体臭を感知することが出来ず、常に周りの反応に怯えながら過ごすことになってしまう、とてもつらい奇病なのである。
尿や体臭が生臭い、魚臭いと指摘されたことのある人は検査を受けてみてもいいかもしれない。日本国内では、昭和薬科大学の山崎浩史教授が魚臭症を研究しており、無料で検査を受けることが出来るようだ。(詳しくはこちら→http://hiroshi-yamazaki.my.coocan.jp/urine3.htm)
魚臭症の原因は?治療方法はあるの?
魚臭症の原因は、ある種の酵素が体内に不足していることで、消化時に発生したトリメチルアミンが分解されないまま、汗や尿によって排出され、悪臭を発生してしまうことだという。
残念ながら治療法は見つかっておらず、トリメチルアミンを発生させやすい『コリン』や『レシチン』を多く含む食品(海産魚介類、卵黄、乳製品、豆類、肉類など)の摂取を控えるしかない。
消臭グッズを利用したり、ガムを噛んだり、体臭を抑えるとされるサプリメントを摂取するなど、地道に努力するしかないのが現状だ。
現在、TMAU Foundation(魚臭症財団)では治療法の研究と、この病気を知らない医師や人々に認知してもらう活動を進めている。
原因が分からず、体臭に悩まされている人を救うために、一刻も早く、治療法や臭いの根絶方法が発明されることが待ち望まれている。
参照元:Wikipedia