聖ニコラウス…キリスト教の司教として、貧しい娘に持参金を恵んだことから、サンタクロースのモデルとされる人物である。
彼の死後、遺体は不朽体(神の恵みにより、朽ちることがない遺体)として、イタリアにあるサン・ニコラ聖堂に安置されている、と「いわれている」。
11世紀、イタリアの船乗りがトルコから彼の遺体を盗み、サン・ニコラ聖堂の地下室に運んだらしいが、実際に彼の遺体がそこにあるという決定的な証拠は見つかっていない。そのため、多くの学者たちが「サン・ニコラ聖堂にある!」「地中海のゲミレル島にある!」など様々な学説を唱えている。
そして先日、また新しい学説が登場した。それはトルコの教会に彼の遺体が眠っているという説である。
その教会の地下をスキャンしたところ、謎の神殿のようなものが手付かずのまま埋まっているということがわかった。つまり、彼の遺体は盗まれていなかったというのだ。
調査の担当者によると、「発見された地下の神殿のようなものは、ほとんどダメージを受けてないと考えられます。しかし、本格的な調査には床のモザイク画のタイルを全てはがす必要があります。」とのこと。
トルコ・ミラに残る元来の聖ニコラウスの石棺 By Sjoehest(クリエイティブ・コモンズ)
聖ニコラウスの遺体があったとされる棺桶まであるので、盗まれずにそのままトルコに残っている可能性も少なくない。「イタリアの船乗りが盗んだのは聖ニコラウスの遺体ではなく、他の司教のものだった」と記載された書物が見つかっていたという報告もある。
聖ニコラウスが活動を行っていたのもトルコであったため、遺体があったとしてもなんら不思議ではない。でも調査の担当者は「トルコの観光に貢献するだろう。」と語っていた。さっそく新たな観光資源として見ているわけか…発掘の目的がそこにあるとは公言しなかったものの、なんだか金の匂いのする話である。
地下の調査で実際に遺体が発見されれば、DNA検査などの現代の技術によって、本物かどうかわかるかもしれない。
果たして、聖ニコラウスの遺体は一体どこにあるのだろうか?
参照元:NATIONAL GEOGRAPHIC、Hurriyet DAILY NEWS、Wikipedia1、2